財務諸表の読み方総資産回転率とは?指標の意味・見方、ROA・ROEとの違いなど

sosikater

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総資産回転率とは、資産をどれだけ「ガンガン回しているか」という数値。

  • ガンガン回して「儲かっている」
  • ガンガン回してるけど「儲かっていない」

…という2通りのパターンがあるので総資産回転率だけでは、良いか悪いか何ともいえないのです。

では、株式投資ではこれをどう使うのか。それは、その企業が、どういうタイプかを見るということです。

  • 資産(元手)を「ガンガン回す」タイプか
  • 「あまり回さない」タイプか

…という判断ですね。これもどちらが良いか悪いかはわかりません。

  • ガンガン回す…「薄利多売」が多い
  • 回さない…「高級品型」が多い

…という違いがあるからです。あくまで「企業の善悪ではなく、タイプを知る」ための数値です。

『総資産回転率』目次

1.総資産回転率の意味・見方

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1-1.『総資産回転率』の正式な意味

「ガンガン回す」というのは、わかりやすくした表現です。正式に総資産回転率の意味を書くと、

  • ①「資産がどれだけ有効活用されているか」という数値
  • ②「資産が、売上として何回転したか」という数値

…という2通りの説明があります。

  • ①…カンタンな説明
  • ②…少し高度な説明

です。レベルが違うだけで、同じ意味です。で、「何回転」の意味がわからないと思うので、説明します。

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1-2.『回転数』の意味

当然「何かの回転の数」ですが、何の回転か。それは利益が出るサイクルです。たとえば花屋なら、

  • ①…花を「仕入れる」
  • ②…花を「お客さんが買ってくれる」

…というサイクルです。この「サイクルの数」が「回転数」です。

当然ですが、この①~②を繰り返せば繰り返すほど儲かるわけです。つまり、基本的には回転数が多いほど、儲かるということなんですね。たとえば「二人の花屋」がいたとすると、

  • ①働き者の花屋…回転数が「多い」
  • ②怠け者の花屋…回転数が「少ない」

ということ。「花1本あたり」の利益率が同じだったら、どっちが儲かるかは言うまでもないでしょう。つまり、利益率が同じなら、回転率が高い方がいいということです。

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1-3.『利益率』が低い場合、ムダな労力が多い

上の「利益率が同じなら」という部分が重要です。当然ですが、もし「怠け者の方が、利益率の高い商売をしていたら」、回転率は低くても、怠け者の方が儲かるということもあるわけですね。

なので「回転率」も大事なのですが、同時に「利益率」も大事なのです。これを専門的な言葉に直すと、

「総資産回転率」も大事だが、「売上高利益率」も大事

となります。で、なぜこの「売上高利益率」という言葉が出てきたのか、説明します。

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1-4.『売上高利益率』とは?

売上高利益率の意味は、例をあげた方が早いです。同じ「1億円の売上」をあげて、

  • ①…利益が「100万円」しかない
  • ②…利益が「9000万円」ある

…という場合、②の方が「売上高利益率が高い」ということです。参考までに、それぞれの売上高利益率を書くと、

  • ①…1%
  • ②…90%

…となります。で、多くの人はここで「なるほど。②方がいいな」と思うでしょう。しかし、そうとは限りません。

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1-5.「利益率」が低くても「ガンガン回せば」いい

ここでまた「ガンガン回す」が登場しました。つまり回転率を上げるということですね。

上の「①…100万円」の企業なら、下のように考えるわけです。

  • 「1億」売り上げたら、
  • 「100万円」利益が出るとわかっている
  • だったら「100億」売り上げれば、
  • 「1億」利益が出る

…ということです。で、この時重要になるのは、いくらの資産を注ぎ込めば、100億の売上が上がるのかということですね。この、

  • いくらの「資産」をつぎ込んだ時、
  • どれだけの「売上」が出るか

…というのが、今回のメインの総資産回転率なのです。つまり、総資産回転率は総資産「売上率」と表現してもいいのです(国語的に微妙におかしくなるので、厳密にはダメですが、イメージ的にはOKです)。

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2.総資産「利益率」との関係

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2-1.「3つの指標」を整理

ここで、新しい指標総資産利益率を登場させます。さっきから「利益率」と呼んでいるものは、これのことです。

で、混乱すると思うので、一度整理しましょう。今、登場しているのは下の3つです。

  • ①総資産「利益率」
  • ②売上高利益率
  • ③総資産「回転率」(今回のメイン)

で、この3つの関係を野球を例にして説明します。

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2-2.「野球」を例にして説明すると?

簡単に言うと、ある商売が「儲かるかどうか」は、

  • ①…「資産」から、どれだけ「売上」が出るか
  • ②…「売上」から、どれだけ「利益」が出るか

…という順番でわかります。これは野球でいうなら、

  • ①…「試合数」から、どれだけ「出番(打席)」があるか
  • ②…「出番(打席)」から、どれだけ「ヒット」が出るか

…ということです。②が「打率」ですね。「打席あたりの安打数」ですから(*「打席」と「打数」の違いは省略)。

で、①は「出場率」のようなもの。プロ野球ではこのような数値は特に出ていないのですが、「本人にとっては、重要なこと」でしょう。

この①と②の計算をすれば、

  • 「打席あたりのヒット率=打率」だけでなく、
  • 「試合あたりのヒット率=出場試合打率(?)」

…という数値が出るわけです。「?」をつけているのはプロ野球に、こんな数値はないからです。「経営ならでは」の数値なんですね。

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2-3.それぞれの数値の意味(再整理)

この「野球の例」を、3つの指標と照らし合わせてみましょう。

 ①…総資産回転率(今回のメイン)

  • 投資…「資産」から、どれだけ「売上」が出るか
  • 野球…「試合」から、どれだけ「打席」があるか

 ②…売上高利益率

  • 投資…「売上」から、どれだけ「利益」が出るか
  • 野球…「打席」から、どれだけ「安打」が出るか

 ③…総資産利益率

  • 投資…「資産」から、どれだけ「利益」が出るか
  • 野球…「試合」から、どれだけ「安打」が出るか

…という風です。つまり、数学風に言うと、

  • ①総資産回転率…「A=B」である
  • ②売上高利益率…「B=C」である
  • ③総資産利益率…①、②により「A=C」である

…ということですね。懐かしい数学の証明問題です。

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2-4.「総資産利益率」だけでもいいのだが…

企業にとって、一番大事なのは「利益」です。つまり、最終的には③…総資産利益率だけでもいいわけですね。ここを見れば「とりあえず、うまく儲けているか」はわかるわけです。

ただ、その「儲けの途中」を詳しく知ろうとすると、「総資産回転率・売上高利益率」の2つも、必要になるということ。なので、

  • 一番重要なのは「総資産利益率」である
  • しかし、より詳しくその企業を知るために、
  • 「総資産回転率・売上高利益率」も知った方がいい

…ということです。

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3.数字の「大小」ではなく「裏の意味」を読む

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3-1.総資産回転率は「大小」の問題ではない

ここまでの説明で、総資産回転率「単独」では、何もわからないということを、理解していただけたでしょう。

  • 高ければ良い
  • 低ければ悪い

…というような「単純な話」ではないんですね。また、よく言われる

  • 回転率が高い…薄利多売
  • 回転率が低い…高級品型

…というのも「絶対にそう」とは限りません。この理由を説明します。

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3-2.「高級品型」で「ガンガン回す」こともある

冒頭にも書いた通り、総資産回転率は元手(資産)を、どれだけガンガン回しているかという数値です。なので、

  • 「高級品」のブランド服を、
  • 「ユニクロ並のペース」で売りまくる

…ということもあり得るわけです。この場合、高級品型でも、「総資産回転率は高く」なります。

もちろん、これはめったにありません。

  • 「売上」も多く、
  • 「利益率」も多い

…という理想形ですから。また野球で言うと、

  • 「打率」も高く、
  • 「それがホームランである率」も高い

…という「化物」状態ですからね。現実には、これはめったにありません。

なので、先に書いた、

  • 総資産回転率が「高い」…薄利多売
  • 総資産回転率が「低い」…高級品型(厚利少売)

…というのは、「大体合ってる」のです。ただ、「絶対そうなる」わけではない、ということですね。

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3-3.「薄利多売・高級品型の良し悪し」もない

これも当然ですが、

  • 薄利多売…悪い
  • 高級品型…良い

…ということもありません。最近は「100円のコーラを1000円で売る」のが美徳とされていますし、実際これはすごいことです。

ただ、その価値観は、

  • 日本は20年以上、デフレが続いている(世界的にも珍しい)
  • 世界全体が(世界史上初かも知れない)「コモディティ化」の時代に入った

…という2つの理由から、最近急激に強くなったものです。今後も強くなるかも知れませんが、基本的に、

  • スピード

…のどっちを重視するかはいつでも、ビジネスの分岐点の基本です。料理を考えればわかります。

  • 「ファーストフード」か、
  • 「高級フレンチ」か、

…ということですね。「俺のイタリアン・俺のフレンチ」はこれを破ったように見えますが、あれは最終的には「ファーストフード」に属しているわけです。たとえば秋元康氏が、あそこに大事なお客さんを呼んでディナーをするということはないですからね。あくまで「大衆店」であり「高級イタリアン・フレンチの中の、薄利多売」なのです。

なので、

  • 総資産回転率が、高かろうが、低かろうが、
  • その時点で「その企業の良し悪し」は決められない
  • あらゆる指標・情報と組み合わせて、
  • 「材料」の一つにする

…ということです。「パセリだけでは、料理はできない」ということです。(大根の「一品料理」とかはありますけどね。笑)

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4.似ている用語との「違い」

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4-1.「総資本回転率」との違い

一見同じ単語に見えますが、

  • 今回のメイン…総「資産」回転率
  • 似ている用語…総「資本」回転率

…というのが違いです。「どうでもいい」と思わないでください。会計上、重要な意味があります。

この違いについて結論を書くと、下のようになります。

  • 「数値」は同じである
  • 「意味」も大体同じ(投資での違いはない)
  • しかし「総資本」と「総資産」の違いは、知っておくべき

…ということです。で、両者の違いを説明します。

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4-1-1.「総資本」と「総資産」の違い

簡単に書くと、

  • 総「資本」…「集めた」お金
  • 総「資産」…「使った」お金

…となります。「資産」なのに「使った」というのが不思議でしょうが、これはすぐわかります。

まず「資本」の「集めた」の方から、意味を説明します。

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4-1-2.総資本の「集めた」の意味

一般の「集めた」のイメージは、

  • 「投資家」から集める
  • 「銀行」から借りる

…というイメージでしょう。これらは「他人のお金」ですね。

で「総資本」では、これに加えて「自分のお金」もカウントします。

  • 自分が「もともと」持っていたお金
  • 自分が「事業で稼いだ」お金

も、すべて「集めた」にカウントするのです。要はその企業に入ったお金は、一円残らず数える、それが「総資本」ということですね。

整理すると「総資本」は下の2つから成り立ちます。

  • ①「自分の」資金…事業で稼いだ・最初から持っていた、など
  • ②「他人の」資金…投資家から集めた・銀行から集めた、など

で、次に「総資産」の「使った」の意味です。

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4-1-3.総資産の「使った」の意味

この意味も、一般の「使った」とは違います。どう違うかというと「貯金」も含むということ。

つまり「使い道=貯金」という風に、「これもある意味、使ったお金」としてカウントする…ということですね。さっきの「総資本」が「企業に入ったお金を、一円残らずカウントした」ように、「総資産」も企業が使ったお金を、一円も残らずカウントするということです。

で、整理すると、「総資産」は下の2通りで成り立ちます。

  • ①「払った」お金…事業のコスト、税金、その他の損失など
  • ②「貯めた」お金…使わなかったお金の全般

…という風です。で、あらためてこの「総資本」「総資産」を比較してみましょう。

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4-1-4.意味は違うが、数値は同じになる

上のそれぞれの「①、②」を見ると意味は全然違うことがわかるでしょう。

 総資本

  • ①「自分の」資金
  • ②「他人の」資金

 総資産

  • ①「払った」資金
  • ②「貯めた」資金

…という風ですからね。それぞれの「分類の基準」が、

  • 総資本…「自分」か「他人」か
  • 総資産…「払った」か「貯めた」か

…ということですからね。なので「意味」は違います。

しかし数値は同じになるわけですね。どっちも、

  • 「集めた」お金と、
  • 「使った」お金を、
  • 「一円残らず」カウントしている

からです。どちらも一円残らずカウントした以上、「数値は絶対に同じになる」わけです。

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4-1-5.「貸借対照表」の左右で言うと…

もっと会計的な説明になりますが、「貸借対照表」の「左右の位置」でいうと、

  • 総資本…右側
  • 総資産…左側

…となります。これは会計や簿記をやっている方で「左右どっちだっけ?」と思った時に、参考にしてください(普通の人には関係ありません)。

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4-2.総資産利益率(ROA)との違い

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4-2-1.「売上」か「利益」か

今回のメインは、総資産「回転率」ですが、それが「利益率」になっているのが、違い。

  • 総資産「回転率」
  • 総資産「利益率」

…という違いですね。「意味の違い」については、前半でも触れましたが、

  • 回転率…売上
  • 利益率…利益

という風です。「同じ金額の資産」から、

  • どれだけ「売上」を出したか…回転率
  • どれだけ「利益」を出したか…利益率

…ということですね。当然ですが基本的には「利益率」で見た方が正しいわけです。

なので、投資の世界でも、

  • 総資産「利益率」はよく登場するけど、
  • 総資産「回転率」はあまり登場しない

…ということですね。ちなみに総資産「利益率」は「ROA」といいます。「ROA」という単語は、株式投資の初心者の方でも、聞いたことがあるでしょう。

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4-2-2.「ROA」と「総資産回転率」の計算式

それぞれ、計算式も書いておきましょう。

  • 総資産回転率…「売上」÷「総資産」
  • 総資産利益率…「利益」÷「総資産」

となります。(縦を揃えるために「日本語」を使いましたが、「総資産利益率=ROA」です)

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4-3.「純資産利益率」(ROE)との違い

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4-3-1.「ROA」の時と、ほとんど同じ

さっきは「ROA」と比較しましたが、今度は「ROE」です。で、この「ROE」と「総資産回転率」の違いを簡単にまとめると、

  • 「ROA」の時と、大体同じ
  • つまり「売上」か「利益」か

…となります。では、「ROAの時」との違いは何かというと、

  • ROA…「総資産」から、いくらの利益を出したか
  • ROE…「純資産」から、いくらの利益を出したか

…となります。つまり、

  • ROA…「総」資産
  • ROE…「純」資産

…の違いなんですね。この「純資産」「総資産」の違いを説明します。

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4-3-2.「総資産」と「純資産」の違い

簡単に書くと、

  • 総資産…借金も「含む」
  • 純資産…借金は「含まない」

となります。つまり「ROA」と「ROE」の意味は、

  • ROA…「借金も含んだすべての資産」から、どれだけの利益を出したか
  • ROE…「借金なしの、自分の資産」から、どれだけの利益を出したか

…となります。こう書くと「借金なしの方がいい」と思うかも知れませんが、そうとは限りません。「借金を含んで」増やしているからこそ、むしろいいとも言えるのです。なぜでしょうか。

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4-3-3.優良企業は、借金もガンガンする

企業は基本的に「借金で回す」ものです。ミツカンの無借金経営などの例外はありますが、基本はやはり、

  • 銀行などからガンガン借金して、
  • ガンガン売上を出して、返済していく

…というのが企業の基本姿勢。つまり、ダイエットでいうなら、

  • 「食べる量を減らす」のではなく、
  • 「ガンガン食べて、ガンガン運動する」

…というやり方です。どちらが健康的な痩せ方かと言ったら、当然後者ですよね。それと同じです。

優良企業は(一部の例外を除いて)、「自己資本」も多いけど、「借金」も多いというのが基本なのです。

なので、上に書いた、

  • ROA…借金を「含んで」どれだけ利益を出したか
  • ROE…借金を「含まないで」どれだけ利益を出したか

…という数値は両方高いのがいいというわけです。(といっても、あくまで「簡単に言うと」です)

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4-3-4.ROA・ROEの両方が高くても、ダメなケース

上のように書いたものの、ROAもROEも、あくまで「ただの計算式」です。「割り算」なのですが、割り算ということは「割る数=分母」を変えてしまえば数値は簡単に改善できる、ということです。

まず、「ROA」「ROE」のそれぞれの計算式を書きます。

  • ROA…「利益」÷「総」資産
  • ROE…「利益」÷「純」資産

…という風です。これを大きくするには「右側」、つまり「資産」が小さければいいわけです。(「総」でも「純」でも)

で、どうするか。簡単に言うと持っている資産を売却してしまえばいいのです。不動産・有価証券などですね。そうすれば、

  • 「利益=左側」が増える
  • 「資産=右側」が減る

…ということで、「ROA」も「ROE」も両方高くなるというわけです。肝心の「事業」がうまく行ったわけではないのに、帳簿上は優良企業となってしまうわけですね。

もちろん、これは会計の「初歩中の初歩」なので、しっかり勉強している投資家は騙されません。なので「別に怖いトリック」ではないのですが、逆に言うともっと複雑な「会計トリック」もあるということ。

長くなるので、ここではそれらは書きません。しかし数字だけを見て投資すると、間違うということは、よくわかるでしょう。

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4-3-5.「ROA」「ROE」の組み合わせ一覧

参考までにROAとROEの「高低の組み合わせ」も一覧にしておきましょう。まず、下のような「4通り」の組み合わせがありますね。

  • ①…ROAが高く、ROEも高い
  • ②…ROAが高く、ROEは低い
  • ③…ROAが低く、ROEは高い
  • ④…ROAが低く、ROEも低い

で、それぞれが「どういう企業か」を書くと、

  • ①…高ROA、高ROE…優良企業
  • ②…高ROA、低ROE…無借金 or 借りたお金をうまく使えていない
  • ③…低ROA、高ROE…借りたお金をうまく使っている or 借金が多い
  • ④…低ROA、低ROE…薄利多売、利益自体が出ていない

となります。もちろん「あくまで大体のイメージ」です。先に書いた通り「高ROE、高ROA」でも「会計上そうなっただけ」という企業もあるので、例外はあります。

ただ、先に書いたようなケースは「長く続く」ものではありません(売却する資産は、いつまでもないですからね)。なので、この「①~④」が「何年か続いている」なら、ここで書いた見方に近くなる、と考えていいでしょう。

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4-3-6.「ROA」も「ROE」も高い方がいい?

もう一度、上の「①、④」を見ると、

  • ①…高ROA、高ROE…優良企業
  • ④…低ROA、低ROE…薄利多売、利益自体が出ていない

…となっています。これを見ると「どちらの数値も高い方がいい」と感じるでしょう。

例外もありますが大体その通りです。というのは、

  • ROA…借金も含めて「そこから、どれだけ利益を出したか」
  • ROE…借金なしで「そこから、どれだけ利益を出したか」

…ということなので、利益は大きい方がいいに決まっているからです。

もちろん、先に書いた「トリック」の逆で、利益もたくさん出したけど、分母である「資産」が急激に増えたということも考えられます。

そうすると、割り算の性質上「利益は出ているのに、ROA・ROEの数値は小さくなる」ということもあるわけです。なので、④が絶対にダメというわけではありませんが基本的には良くない、特に長く続く場合は危ないと考えた方がいいでしょう。

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