連れ高銘柄投資法とは、
- いつも「株価が連動している」グループを見つける
- その中の「どれか」が上がったとする
- まだ「上がっていない株」も、すぐに上がると予想する
- その株を買う
…という投資法です。一言でいうと「連動銘柄で、値上がりが遅れているものを買う」ということですね。以下、銘柄やグループの見つけ方などを、まとめます。
目次
- 1.連動するグループ(同一セクター)の見つけ方
- └ 1-1.人気サイトの「関連株一覧」で探す
- └ 1-2.「BtoB」の優良企業をチェックする
- 2.「BtoB」の優良企業の探し方
- └ 2-1.ネット上の一覧から、当たりをつける
- └ 2-2.BtoBの優良企業の一例(一覧)
- └ 2-3.研究の仕方「経営本・業界紙などを読む」
- 3.ピーター・リンチに学ぶ「BtoB銘柄の選別法」
- └ 3-1.ピーター・リンチ「成長株の13の条件」
- └ 3-2.「退屈な会社」の将来性を見抜く
- 4.連れ高銘柄が上昇した実例
- └ 4-1.2002年~03年の「海運系」
- └ 4-2.仕手戦に巻き込まれないように注意
- 5.まとめ&参考資料一覧
- └ 5-1.まとめ「長い目で見て、得意ジャンルを持つ」
- └ 5-2.参考文献&サイト一覧
1.連動するグループ(同一セクター)の見つけ方
- 1-1.人気サイトの「関連株一覧」で探す
- 1-2.「BtoB」の優良企業をチェックする
1-1.人気サイトの「関連株一覧」で探す
「関連株 一覧」と検索すると、投資の人気サイトで、優良なページが多く見つかります。中でも一位でヒットする下のサイトさんの一覧は、素晴らしいです。
- 株・個人投資家の喫茶店「銘柄選択テーマ別 上場企業一覧」
- http://www.kabudream.com/selection/
五十音順に、あらゆるジャンルの関連株を一覧にしています。ほんの一部ですが、紹介すると下のようなものです。
アップル | カラオケ | サーバー・データセンター |
アニメ | がれき処理 | 植物工場 |
インフルエンザ | 基地局 | 資源関連 |
インテル | 喫茶店・カフェ | ジェネリック医薬品 |
宇宙 | 橋梁 | シェールガス |
映画 | 急速充電器 | 食器関連 |
NFC(近距離無線通信) | 漁業 | スマートグリット(次世代送電網) |
LTE | 化粧品 | 水晶振動子 |
M&A | 健康・ヘルスケア | 巣篭もり |
SNS | 高額消費 | 水泳・共栄 |
親子上場 | 国民ID(マイナンバー) | 生物多様性 |
花粉症 | コネクタ | セキュリティ |
介護 | コンデンサ | 節電・省エネ |
学習塾 | ゴルフ | センサー |
カジノ | 再生可能エネルギー | 選挙 |
楽器 | 再生医療 | 葬儀・葬式 |
これを見ただけでも「派手なジャンルから、地味なジャンルまで、あらゆるセクタで関連銘柄がある」ということがわかるでしょう。これだけあれば、
- 自分の得意ジャンル
- 自分の働いているジャンル
も必ずあるので、より正確な「連れ高銘柄投資」ができます。(連れ高銘柄でも、全部が必ず値上がりする…というわけではないので、正確に見極めるに越したことはないです)。
1-2.「BtoB」の優良企業をチェックする
「BtoB」(企業対企業)で活躍する優良企業をチェックする―、というのも有効な方法です。理由は、
- 「A社とB社」のつながりを知っておく
- 「A社」が値上がりする
- 一見ジャンルが全然違う「B社」の値上がりも予測できる
ということです。日本人のほとんどは、自分たち「消費者」を相手にする「B to C」の企業しか知らないので、BtoBで「連れ高銘柄」を狙うと、チャンスが多いわけです。
2.「BtoB」の優良企業の探し方
- 2-1.ネット上の一覧から、当たりをつける
- 2-2.BtoBの優良企業の一例(一覧)
- 2-3.研究の仕方「経営本・業界紙などを読む」
2-1.ネット上の一覧から、当たりをつける
まず、最初の「当たり」としておすすめしたいのは「ネットでの検索」です。「ネットの情報を鵜呑みにしてはいけない」のは常識ですが、「当たりをつけるだけ」だったら、ネットほど便利なものはないのです。
「BtoB 優良企業」などと検索すると、すぐれた一覧ページが多くヒットします。たとえば後述のような企業が出てきますが、こうした名前を見て、
- ピンとくる
- 自分の得意な業界である
…などの条件で「絞り込み調査」をしていきましょう。
2-2.BtoBの優良企業の一例(一覧)
例えば下のような優良企業が、BtoBの世界にはあります。
- 日本海洋掘削…建設業
- ヒューリック…不動産
- 東洋製缶…非鉄金属
- 宮地エンジニアリング…金属
- 帝国繊維…繊維業
- 東海カーボン…ガラス
- 保土谷化学工業…化学
- ナブテスコ…機械
- フクダ電子…電子機器
- 国際計測器…精密機器
- 東邦レマック…商社
あくまでほんの一部ですが、ほとんどの人は「聞いたこともない名前だ」と思うでしょう。こうした一覧の中から「あ、この企業・業界はわかるかも」という所から、研究をしていきます。
2-3.研究の仕方「経営本・業界紙などを読む」
で、どうやって研究するかですが、方法はいろいろあります。手っ取り早いのは、経営に関する本や、業界紙などを読むということでしょう。
- 経営本…ビジネス全般の嗅覚を磨く
- 業界紙…その業界ならではの情報を知る
…ということです。「マクロとミクロ」「鷹の目、虫の目」の両方…ということですね。
このような読書が投資やビジネスの成功につながることは、『お金持ちの教科書』などのベストセラーで知られる加谷珪一氏も、「実用書の購入は、最大の自己投資である」と、著書の中で書いています。
もちろん、中には「ただの読書家」もいるわけですが、そうならないよう「投資の実践とのバランス」も取りつつ、このような情報収集をしてください。
3.ピーター・リンチに学ぶ「BtoB銘柄の選別法」
- 3-1.ピーター・リンチ「成長株の13の条件」
- 3-2.「退屈な会社」の将来性を見抜く
3-1.ピーター・リンチ「成長株の13の条件」
成長株投資で有名なピーター・リンチは、下の13の条件を「成長株の選別方法」としています。
- 面白みのない、もしくは馬鹿げている社名
- 変わり映えのしない業務内容
- 感心しない業種
- 分離独立した会社
- 機関投資家が保有せず、アナリストがフォローしない会社
- 悪い噂の出ている会社
- 気の滅入る会社
- 無成長産業
- ニッチ産業
- 買い続けなければならない商品
- テクノロジーを使う側
- インサイダーたちが買う会社
- 自社株買い戻しを行っている会社
このうち「退屈だけど優良なBtoB企業」に該当するのは、
- 1.面白みのない
- 2.変わり映えのしない
- 4.分離独立した会社
- 7.気の滅入る会社
- 8.無成長産業
- 9.ニッチ産業
- 10.買い続けなければならない商品
…といえます。特に当てはまるのは、
- 1.面白みのない
- 2.変わり映えのしない
- 3.無成長産業
- 9.ニッチ産業
…でしょう。
- つまらなく、
- 安定していて、
- マイナーである
…というのが「優良なBtoB企業の、3条件」と言ってもいいかも知れません。
(毛沢東が唱えた革命家の条件「若く、貧しく、無名である」とも、一部似たものを感じます)
3-2.「退屈な会社」の将来性を見抜く
上の「13の条件」は要するに「退屈な会社」ということ。実際にピーター・リンチが著書であげた実例を引用します。
アイオワ州のマスカティンでタイヤを再生する企業ほど、退屈そうなものがあるだろうか。(中略)米国では、毎年、トラックやバスの摩耗したタイヤが1200万本も再生タイヤと交換されているが、そのうち約500万本がバンダグ製だ。
つまり、バンダグ社はアメリカの再生タイヤの約45%のシェアということですね。トラックなどの業務用ということで、流行り廃りもなく「確実に必要」な商品です。
ピーター・リンチは、バンダグ社の強さの理由として、
- 気さくな経営陣
- ケチに徹する姿勢
- ニッチなポジションを見出した
…という3点を上げています。特に重要なのは「ケチ」と「ニッチなポジション」の2つでしょう(経営陣が気さくというだけなら、もっと派手な企業でもたくさんあるはずなので)。
「ケチな男はモテない」というのは常識ですが、同じように「ケチな会社も、世間から受けない」ものです。この点、
- 「BtoBの優良企業を見抜く目」と、
- 「人間を見抜く目」は、
共通するものがある…といえるかも知れません。
4.連れ高銘柄が上昇した実例
- 4-1.2002年~03年の「海運系」
- 4-2.仕手戦に巻き込まれないように注意
4-1.2002年~03年の「海運系」
2002年~2003年には、玉井商船などを皮切りに海運系・汽船系の銘柄が、軒並み新高値を更新しました。銘柄の一覧と、更新時期は下の通りです。
会社名 | 新高値更新 |
---|---|
玉井商船 | 02年4月 |
飯野海運 | 02年8月 |
川崎汽船 | 03年2月 |
共栄タンカー | 03年5月 |
太平洋海運 | 03年6月 |
明治海運 | 03年6月 |
乾汽船 | 03年6月 |
第一中央汽船 | 03年6月 |
商船三井 | 03年8月 |
新和海運 | 03年8月 |
日本郵船 | 03年9月 |
(出典『伝説のファンドマネージャーが実践する 株の絶対法則』
新高値とは、要するに「新記録」のこと。「その銘柄が上場してから、一番高い株価になった」ということですね。
その変化が、2002年4月~2003年9月の「1年5ヶ月」の間で、上の10の企業すべてで起きたわけです。もちろん新高値をつける前に、さらに何度も値上がりチャンスがあったわけなので、この期間のこれらの銘柄は「かなり儲けやすかった」といえます。(理論的には)
4-2.仕手戦に巻き込まれないように注意
上のように、連れ高銘柄というのは「割とわかりやすい指標」です。逆に言えばわざとそういう現象を起こし、個人投資家を釣る機関投資家もいるわけですね。
こういう「株価操作」に近いものを「仕手戦」といいますが、このような仕手戦に巻き込まれない用、くれぐれも注意が必要です。巻き込まれない方法としては、
- 何でそのジャンルが上がるのか、理由を調べる
- そのジャンルが上がるのは正しくても、個別の会社も正しいか調べる
ということです。もちろん上がるのは別に正しくないけど、上がっているうちにさっさと売り抜けて、儲かっちゃったという成功例もあるでしょう(バブルで売り抜けた人たちは、まさにそれですからね)。
なので、あまり「意味」にこだわりすぎると「一攫千金のチャンスを逃す」というデメリットは、確かにあります。この辺は「半分ギャンブル」です。
- 自分は「どれだけの金額」を、絶対に稼ぎたいのか
- そのためなら「どこまでのリスク」を許せるのか
ということをハッキリさせてこれで失敗したら、その時はその時という覚悟を決めて臨む必要があります。
投資の歴史を代表する大投資家、ジェシー・リバモアでも4回破産したことを忘れてはいけません。「投資で百発百中の成功を続ける」というのは、プロ中のプロでもほぼ無理なのです。
5.まとめ&参考資料一覧
- 5-1.まとめ…長い目で見て、得意ジャンルを持つ
- 5-2.参考文献&サイト一覧
5-1.まとめ…長い目で見て、得意ジャンルを持つ
連れ高銘柄投資法は、「短期売買のテクニック」として使うのも、もちろんありでしょう。しかし、それだと当然「機関投資家や、偶然の下落に翻弄される」リスクもあるので、安全とは言いがたいです。
もし「できるだけノーリスクで稼ぎたい」と思うなら、ウォーレン・バフェットが言うように「論文が書けるくらい、精通したジャンル・企業」を持つのがいいでしょう。それだったら、その業界や企業については「連動銘柄が上がる・下がる」ということが、かなり正確に予想できるわけです。
(少なくとも、何も知らないジャンルで仕掛けるよりは)
そのようにして、
- 正しい企業・業界に投資する
- 淘汰されるべき企業・業界には投資しない(売る)
というのは、社会の健全化にも貢献する「正しい投資」です。(淘汰については、少々可哀想かも知れませんが、人間だって動物や植物を毎日食べているわけですから、仕方ありません)
ということで、連れ高銘柄投資法の本質は、自分の得意ジャンルを持つことと考えるのも、一つの道でしょう。「本質的なやり方」だけが正しいとはいいませんが、先に書いたリバモアの破産の例を見ても「安定した王道を歩む」方が、精神衛生的にも良いかと思います。
5-2.参考文献&サイト一覧
- 株・個人投資家の喫茶店「銘柄選択テーマ別 上場企業一覧」
- http://www.kabudream.com/selection/
- 「関連株銘柄」の一覧を参考
- 林則行(2012)『伝説のファンドマネージャーが実践する 株の絶対法則』ダイヤモンド社
- 2002年~2003年の「海運系」の連れ高銘柄を参考
- The Dosanko Nikki from Tokyo「個人的な隠れ優良(候補)企業250社」
- http://d.hatena.ne.jp/freecoffee/20121018/1350592189
- 非常に充実した、BtoBの優良企業一覧(BtoB以外も入っているが)
- ピーター・リンチ、平野誠一・訳(2015)『ピーター・リンチの株の法則 ―90秒で説明できない会社には手を出すな』ダイヤモンド社
- 再生タイヤメーカーの「バンダグ社」について、引用
- 加谷珪一(2014)『お金持ちの教科書』CCCメディアハウス
- 「実用書の購入は、最大の自己投資である」の部分について、参考
- Dream Gate「第28回 株式会社幻冬舎 見城徹 5」
- http://case.dreamgate.gr.jp/mbl_t/id=415
- 毛沢東の名言「若く、貧しく、無名であること」を、見城徹氏が引用している