投資スタイル連れ高銘柄投資法とは?→上がった株の関連株を売買する手法

連れ高銘柄投資法のイメージ

連れ高銘柄投資法のイメージ

連れ高銘柄投資法とは、

  1. いつも「株価が連動している」グループを見つける
  2. その中の「どれか」が上がったとする
  3. まだ「上がっていない株」も、すぐに上がると予想する
  4. その株を買う

…という投資法です。一言でいうと「連動銘柄で、値上がりが遅れているものを買う」ということですね。以下、銘柄やグループの見つけ方などを、まとめます。

目次

1.連動するグループ(同一セクター)の見つけ方

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1-1.人気サイトの「関連株一覧」で探す

「関連株 一覧」と検索すると、投資の人気サイトで、優良なページが多く見つかります。中でも一位でヒットする下のサイトさんの一覧は、素晴らしいです。

  • 株・個人投資家の喫茶店「銘柄選択テーマ別 上場企業一覧」
  • http://www.kabudream.com/selection/

五十音順に、あらゆるジャンルの関連株を一覧にしています。ほんの一部ですが、紹介すると下のようなものです。

アップル カラオケ サーバー・データセンター
アニメ がれき処理 植物工場
インフルエンザ 基地局 資源関連
インテル 喫茶店・カフェ ジェネリック医薬品
宇宙 橋梁 シェールガス
映画 急速充電器 食器関連
NFC(近距離無線通信) 漁業 スマートグリット(次世代送電網)
LTE 化粧品 水晶振動子
M&A 健康・ヘルスケア 巣篭もり
SNS 高額消費 水泳・共栄
親子上場 国民ID(マイナンバー) 生物多様性
花粉症 コネクタ セキュリティ
介護 コンデンサ 節電・省エネ
学習塾 ゴルフ センサー
カジノ 再生可能エネルギー 選挙
楽器 再生医療 葬儀・葬式

これを見ただけでも「派手なジャンルから、地味なジャンルまで、あらゆるセクタで関連銘柄がある」ということがわかるでしょう。これだけあれば、

  • 自分の得意ジャンル
  • 自分の働いているジャンル

も必ずあるので、より正確な「連れ高銘柄投資」ができます。(連れ高銘柄でも、全部が必ず値上がりする…というわけではないので、正確に見極めるに越したことはないです)。

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1-2.「BtoB」の優良企業をチェックする

「BtoB」(企業対企業)で活躍する優良企業をチェックする―、というのも有効な方法です。理由は、

  • 「A社とB社」のつながりを知っておく
  • 「A社」が値上がりする
  • 一見ジャンルが全然違う「B社」の値上がりも予測できる

ということです。日本人のほとんどは、自分たち「消費者」を相手にする「B to C」の企業しか知らないので、BtoBで「連れ高銘柄」を狙うと、チャンスが多いわけです。

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2.「BtoB」の優良企業の探し方

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2-1.ネット上の一覧から、当たりをつける

まず、最初の「当たり」としておすすめしたいのは「ネットでの検索」です。「ネットの情報を鵜呑みにしてはいけない」のは常識ですが、「当たりをつけるだけ」だったら、ネットほど便利なものはないのです。

「BtoB 優良企業」などと検索すると、すぐれた一覧ページが多くヒットします。たとえば後述のような企業が出てきますが、こうした名前を見て、

  • ピンとくる
  • 自分の得意な業界である

…などの条件で「絞り込み調査」をしていきましょう。

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2-2.BtoBの優良企業の一例(一覧)

例えば下のような優良企業が、BtoBの世界にはあります。

  • 日本海洋掘削…建設業
  • ヒューリック…不動産
  • 東洋製缶…非鉄金属
  • 宮地エンジニアリング…金属
  • 帝国繊維…繊維業
  • 東海カーボン…ガラス
  • 保土谷化学工業…化学
  • ナブテスコ…機械
  • フクダ電子…電子機器
  • 国際計測器…精密機器
  • 東邦レマック…商社

あくまでほんの一部ですが、ほとんどの人は「聞いたこともない名前だ」と思うでしょう。こうした一覧の中から「あ、この企業・業界はわかるかも」という所から、研究をしていきます。

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2-3.研究の仕方「経営本・業界紙などを読む」

で、どうやって研究するかですが、方法はいろいろあります。手っ取り早いのは、経営に関する本や、業界紙などを読むということでしょう。

  • 経営本…ビジネス全般の嗅覚を磨く
  • 業界紙…その業界ならではの情報を知る

…ということです。「マクロとミクロ」「鷹の目、虫の目」の両方…ということですね。

このような読書が投資やビジネスの成功につながることは、『お金持ちの教科書』などのベストセラーで知られる加谷珪一氏も、「実用書の購入は、最大の自己投資である」と、著書の中で書いています。

もちろん、中には「ただの読書家」もいるわけですが、そうならないよう「投資の実践とのバランス」も取りつつ、このような情報収集をしてください。

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3.ピーター・リンチに学ぶ「BtoB銘柄の選別法」

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3-1.ピーター・リンチ「成長株の13の条件」

成長株投資で有名なピーター・リンチは、下の13の条件を「成長株の選別方法」としています。

  1. 面白みのない、もしくは馬鹿げている社名
  2. 変わり映えのしない業務内容
  3. 感心しない業種
  4. 分離独立した会社
  5. 機関投資家が保有せず、アナリストがフォローしない会社
  6. 悪い噂の出ている会社
  7. 気の滅入る会社
  8. 無成長産業
  9. ニッチ産業
  10. 買い続けなければならない商品
  11. テクノロジーを使う側
  12. インサイダーたちが買う会社
  13. 自社株買い戻しを行っている会社

このうち「退屈だけど優良なBtoB企業」に該当するのは、

  • 1.面白みのない
  • 2.変わり映えのしない
  • 4.分離独立した会社
  • 7.気の滅入る会社
  • 8.無成長産業
  • 9.ニッチ産業
  • 10.買い続けなければならない商品

…といえます。特に当てはまるのは、

  • 1.面白みのない
  • 2.変わり映えのしない
  • 3.無成長産業
  • 9.ニッチ産業

…でしょう。

  • つまらなく、
  • 安定していて、
  • マイナーである

…というのが「優良なBtoB企業の、3条件」と言ってもいいかも知れません。

(毛沢東が唱えた革命家の条件「若く、貧しく、無名である」とも、一部似たものを感じます)

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3-2.「退屈な会社」の将来性を見抜く

上の「13の条件」は要するに「退屈な会社」ということ。実際にピーター・リンチが著書であげた実例を引用します。

アイオワ州のマスカティンでタイヤを再生する企業ほど、退屈そうなものがあるだろうか。(中略)米国では、毎年、トラックやバスの摩耗したタイヤが1200万本も再生タイヤと交換されているが、そのうち約500万本がバンダグ製だ。

つまり、バンダグ社はアメリカの再生タイヤの約45%のシェアということですね。トラックなどの業務用ということで、流行り廃りもなく「確実に必要」な商品です。

ピーター・リンチは、バンダグ社の強さの理由として、

  • 気さくな経営陣
  • ケチに徹する姿勢
  • ニッチなポジションを見出した

…という3点を上げています。特に重要なのは「ケチ」と「ニッチなポジション」の2つでしょう(経営陣が気さくというだけなら、もっと派手な企業でもたくさんあるはずなので)。

「ケチな男はモテない」というのは常識ですが、同じように「ケチな会社も、世間から受けない」ものです。この点、

  • 「BtoBの優良企業を見抜く目」と、
  • 「人間を見抜く目」は、

共通するものがある…といえるかも知れません。

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4.連れ高銘柄が上昇した実例

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4-1.2002年~03年の「海運系」

2002年~2003年には、玉井商船などを皮切りに海運系・汽船系の銘柄が、軒並み新高値を更新しました。銘柄の一覧と、更新時期は下の通りです。

会社名 新高値更新
玉井商船 02年4月
飯野海運 02年8月
川崎汽船 03年2月
共栄タンカー 03年5月
太平洋海運 03年6月
明治海運 03年6月
乾汽船 03年6月
第一中央汽船 03年6月
商船三井 03年8月
新和海運 03年8月
日本郵船 03年9月

(出典『伝説のファンドマネージャーが実践する 株の絶対法則』

新高値とは、要するに「新記録」のこと。「その銘柄が上場してから、一番高い株価になった」ということですね。

その変化が、2002年4月~2003年9月の「1年5ヶ月」の間で、上の10の企業すべてで起きたわけです。もちろん新高値をつける前に、さらに何度も値上がりチャンスがあったわけなので、この期間のこれらの銘柄は「かなり儲けやすかった」といえます。(理論的には)

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4-2.仕手戦に巻き込まれないように注意

上のように、連れ高銘柄というのは「割とわかりやすい指標」です。逆に言えばわざとそういう現象を起こし、個人投資家を釣る機関投資家もいるわけですね。

こういう「株価操作」に近いものを「仕手戦」といいますが、このような仕手戦に巻き込まれない用、くれぐれも注意が必要です。巻き込まれない方法としては、

  • 何でそのジャンルが上がるのか、理由を調べる
  • そのジャンルが上がるのは正しくても、個別の会社も正しいか調べる

ということです。もちろん上がるのは別に正しくないけど、上がっているうちにさっさと売り抜けて、儲かっちゃったという成功例もあるでしょう(バブルで売り抜けた人たちは、まさにそれですからね)。

なので、あまり「意味」にこだわりすぎると「一攫千金のチャンスを逃す」というデメリットは、確かにあります。この辺は「半分ギャンブル」です。

  • 自分は「どれだけの金額」を、絶対に稼ぎたいのか
  • そのためなら「どこまでのリスク」を許せるのか

ということをハッキリさせてこれで失敗したら、その時はその時という覚悟を決めて臨む必要があります。

投資の歴史を代表する大投資家、ジェシー・リバモアでも4回破産したことを忘れてはいけません。「投資で百発百中の成功を続ける」というのは、プロ中のプロでもほぼ無理なのです。

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5.まとめ&参考資料一覧

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5-1.まとめ…長い目で見て、得意ジャンルを持つ

連れ高銘柄投資法は、「短期売買のテクニック」として使うのも、もちろんありでしょう。しかし、それだと当然「機関投資家や、偶然の下落に翻弄される」リスクもあるので、安全とは言いがたいです。

もし「できるだけノーリスクで稼ぎたい」と思うなら、ウォーレン・バフェットが言うように「論文が書けるくらい、精通したジャンル・企業」を持つのがいいでしょう。それだったら、その業界や企業については「連動銘柄が上がる・下がる」ということが、かなり正確に予想できるわけです。

(少なくとも、何も知らないジャンルで仕掛けるよりは)

そのようにして、

  • 正しい企業・業界に投資する
  • 淘汰されるべき企業・業界には投資しない(売る)

というのは、社会の健全化にも貢献する「正しい投資」です。(淘汰については、少々可哀想かも知れませんが、人間だって動物や植物を毎日食べているわけですから、仕方ありません)

ということで、連れ高銘柄投資法の本質は、自分の得意ジャンルを持つことと考えるのも、一つの道でしょう。「本質的なやり方」だけが正しいとはいいませんが、先に書いたリバモアの破産の例を見ても「安定した王道を歩む」方が、精神衛生的にも良いかと思います。

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5-2.参考文献&サイト一覧

  • 株・個人投資家の喫茶店「銘柄選択テーマ別 上場企業一覧」
  • http://www.kabudream.com/selection/
  • 「関連株銘柄」の一覧を参考
  • 林則行(2012)『伝説のファンドマネージャーが実践する 株の絶対法則』ダイヤモンド社
  • 2002年~2003年の「海運系」の連れ高銘柄を参考
  • The Dosanko Nikki from Tokyo「個人的な隠れ優良(候補)企業250社」
  • http://d.hatena.ne.jp/freecoffee/20121018/1350592189
  • 非常に充実した、BtoBの優良企業一覧(BtoB以外も入っているが)
  • ピーター・リンチ、平野誠一・訳(2015)『ピーター・リンチの株の法則 ―90秒で説明できない会社には手を出すな』ダイヤモンド社
  • 再生タイヤメーカーの「バンダグ社」について、引用
  • 加谷珪一(2014)『お金持ちの教科書』CCCメディアハウス
  • 「実用書の購入は、最大の自己投資である」の部分について、参考
  • Dream Gate「第28回 株式会社幻冬舎 見城徹 5」
  • http://case.dreamgate.gr.jp/mbl_t/id=415
  • 毛沢東の名言「若く、貧しく、無名であること」を、見城徹氏が引用している
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