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株式投資の経営指標PBR・PER・PCFR・ROEの使い方

企業

投資は大別して、

  • テクニカル投資…チャートを見る
  • ファンダメンタル投資…企業の状態を見る

に分かれます。そして「ファンダメンタル投資」の方を選ぶ場合、欠かせないのが「経営指標」です。これは野球選手でいう「打率・打点・安打数」などのようなもの。

ただ「多ければいい」というのではなく「良い数字・悪い数字の組み合わせ」によって、「その企業のタイプ」も判断できるのです。たとえば野球の場合、

  • 打率…低い
  • ホームラン…多い
  • 盗塁…ゼロ

という場合、典型的な「力自慢のホームランバッター」とわかりますよね。(絶対ではありませんが、かなりの確率で)

このように、株式投資でも「経営指標」を組み合わせることで、「その企業のタイプ・今後の動向」を占うことができます。ファンダメンタル投資に取り組む方は、これから紹介する経営指標を、ぜひマスターしてください。

経営指標は『単独』でも役立つけど『組み合わせる』と、さらに企業がよくわかる!

株式投資で役立つ経営指標・一覧

株式投資では、特に下の経営指標が重要になります。

  • PBR(株価純資産倍率)
  • PER(株価収益率)
  • PCFR(株価キャッシュフロー倍率)
  • ROE(自己資本利益率)
  • ROIC(投下資本利益率)

それぞれの意味を簡単に書くと、下のようになります。

指標 意味・内容
PBR その株の『過大・過小』評価のレベル
PER 今株を買ったら、回収に何年かかるか
PCFR PERの、より正確な数値
ROE その会社の経営が、効率的かどうか
ROIC ROEの、より正確な数値

東証の上場銘柄の平均は?

それぞれの指標で「東証上場銘柄の、大体の平均」を一覧にします。(時期によって異なるので)

  • PBR…1.2倍
  • PER…15倍
  • PCFR…9倍
  • ROE…8%
  • ROIC…5%

そして、それぞれ「高い方が良い」か「低い方が良い」かも一覧にします。

  • PBR…低い
  • PER…低い
  • PCFR…低い
  • ROE…高い
  • ROIC…高い

「平均より高ければ(低ければ)良い」とは限りません。先にも書いた通り、経営指標というのは「組み合わせが重要」なので、単独では判断できないのです。

また、経営指標だけでなく「その数字が出た理由」を調べるため、「企業そのもの」「業界そのもの」についても知る必要があります。

ということで、実際は上の一覧ほど単純ではありません。しかし、とりあえず初心者の人は入り口として、上の一覧を判断の基準にしてください。

各指標の正確な説明

それぞれの指標について、正確な説明をします。正確といっても、厳密な専門用語は省いています。

それぞれの記事で厳密な補足もしているので、さらに正確な情報は、各記事でご覧ください。

PBR(株価純資産倍率)とは

簡単に言うと「その株のバブル度」を示します。「過大評価されているか、過小評価されているか」ということですね。

実は、これは「どちらでも良い」のです。理由は、

  • 過大評価…将来性のある会社は、今の実力以上に評価される
  • 過小評価…今持っておけば、その株が値上がりする

ということです。もちろん「過大評価」は「ただのバブル」の場合もあります。その点は危険ですが、「株で一番儲かるのは、バブルの時」というのも事実です。

PBRに関しては「高くも低くもない」という、退屈な株が一番面白みがない、ということですね。もちろん「安定している」という長所でもありますが。

PER(株価収益率)とは

簡単に言うと「その株を今買ったら、何年で回収できるか」ということ。毎年「配当金」が出るので、それを「何年分貰えばいいか」ということですね。

当然、小さい方がいいです。極端な話「PER=1」だったとしたら「1年目の配当で、完全に元が取れる」ということ。あとは「いくらで売ろうと、必ず利益が出る」わけです。つまり「上がろうが下がろうが、関係ない」状態になるんですね。

ということで、「PERが小さい株」を皆ほしがります。そして、「皆欲しがる」ということは「株価が上がりやすい」ということなのです。

PCFR(株価キャッシュフロー倍率)とは

簡単に言うと、先の「PER」をさらに正確にした数値です。「費用を回収」するには、実際には「手元に現金」が入ってこなければいけません。

しかし、PERの「収益」というのは、「現金」ではないのです。「売上は確定したけど、振り込んでもらえるのは来年」という場合も、すべて「その場で収益に計算」しているんですね。

ということで「たくさん収益があるのに、手元に現金がない」という企業は、意外と多いのです。これで倒産することを、「黒字倒産」といいます。

もし投資したのがそういう企業だったら…?「利益が多いので安心♪」と思っていたら、「黒字倒産されて、株券が紙くずに」という事態も起こりうるわけです。

そのため、「会計上の利益」ではなく「実際に、会社の手元にある現金」で、PERを判断しよう、という動きが生まれたわけです。それで生まれたのが、この「PCFR」です。

ROE(自己資本利益率)

これは「効率的な経営をしているか」という指標。簡単に言うと「資本を何倍まで増やしたか」ということです。

当然「たくさん増やした方がいい」です。ただ、ROEには落とし穴があります。それは「借金をカウントしていない」ということ。

企業は「今ある資本だけ」を使って、事業をするわけではありません。「今ある資本+借金」を使って、事業をするのです。

ということは「お金を何倍にしたか」を見たいなら、この「借金も含めて、実際に使ったお金」を、何倍にしたかを見るべきなんですね。でなければ「膨大な借金」をしていた時、それに気づかず「わずかな資本を、こんなに増やした!」と勘違いしてしまうのです。

ということで、このROEの欠陥を補うために生まれたのが「ROIC」です。

ROIC(投下資本利益率)とは

原理はROEと同じです。「お金を何倍まで増やしたか」ということです(パチプロの人たちも、日々自慢していることですね)

で、ROEとの違いは先に書いた通り「実際に使ったお金」でカウントしていること。そのため「ROEより、ROICの方が、企業の実像がハッキリわかる」といえます。

ただ、「企業が実際に使ったお金」というのは、専門家でも計算がそれぞれ違います。ROIC自体を出すのは簡単でも、「正しいROIC」を出すのは難しいんですね。

ということで、ROICは「役立つ数値」ですが、「出すのが難しい」という点は、意識してください。

まとめ ~経営指標の見方~

最後に、これらの経営指標の見方のポイントをまとめます。

  • 複数の指標を組み合わせてみる
  • 指標の裏にある意味を、調べる

となります。どの指標にしても、たまたまその数値が「良かった」からと言って、短絡的に投資してはいけません。「別の悪い理由」によって、たまたまその指標だけ、「良い数値」になることは、しばしばあります。

そのため、常に全部の指標を組み合わせ、「絶好の銘柄」が見つかったら「なぜこの状態になっているのか」という理由も、合わせて調べる必要があります。

(複数の指標で「絶好」でも、やはり別の理由で偶然そうなることが、あるからです)

というように、指標はあくまで「情報の一部」。株式投資で長く成功するには「ビジネスや、世界自体を見る目」を養うようにしてください。

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