投資スタイルコバンザメ投資法 ~TOPIX投資が通じなくなった現在でも利益を出すには~

コバンザメ投資法

 コバンザメ投資法とは

  • 「TOPIX入りする株」を先に買い、TOPIX入りと同時に売る
  • 2000年代はじめまでは通じたが、今は難しい
  • より「本質的な」コバンザメは、今でも通じる
  • 2014年上場の「アサンテ」はその好例

目次(概要)

詳細目次

1.コバンザメ投資法とは

コバンザメ投資法の概要・由来・メリット・デメリットです。

  1. 概要…今後『TOPIX』に入るだろう銘柄を買う
  2. 由来…なぜ『コバンザメ』なのか?
  3. メリット…予想が当たれば、一人勝ち
  4. デメリット…TOPIX入りするまで、長期保有が必要

1-1.概要…今後『TOPIX』に入るだろう銘柄を買う

TOPIXは、簡単に言うと「東証一部の上場企業」です。(正確な説明はこちら

「上場する企業を買う」というと「IPO株投資」を連想する人も多いでしょう。IPO株投資との違いは、

  • IPO株投資は、当選して株券を買えた人しかできない
  • しかし、コバンザメ投資法に抽選は関係ない
  • 二部やマザーズの時から「長期保有」しておけばいい

ということです。あと、

  • IPO…「東証一部」だけでなく「マザーズ上場」なども対象
  • コバンザメ…「東証一部」のみ

というのも違いです。

1-2.由来…なぜ『コバンザメ』なのか?

これは「ファンド」にくっつくからです。

  • ファンド…ジンベイザメ
  • 自分…コバンザメ

ということですね。

くっつくのは主に「TOPIX連動型」の投資信託です。簡単に言うと「東証一部の銘柄が、全部揃ったセット株」です。

「セット株」である以上、新たに「一部上場」した企業があったら、ファンドは嫌でも入れなければいけません。そして、どのファンドでも「TOPIX連動型」は、かなりの規模です。つまり、

  • 上場が決まった時点で、「ファンドによって相当買われる」ことがわかっている
  • その「ファンドの買い」にくっついて、利益を得る

というわけです。

(これを読んだ時もやはり「IPO株投資に似ている」と思うでしょうが、違いは先の通りです。本質的には、確かに似ています)

1-3.メリット…予想が当たれば、一人勝ち

当然ですが「誰もが上場を予想している銘柄」を買っても、利益はありません。

  • 誰も上場を予想していない
  • 安値で放置されている

という株を買い込み、それが的中して上場した時、一人勝ちできます。

つまり、「コバンザメ投資法のメリット」というより、「予想が的中した時のメリット」ですね。こういう点では、コバンザメ投資法は、「割安株投資法」にも似ています。

(割安株投資法については、下の記事で詳しく書いています。↓)

割安株投資法とは ~グレアム型・フレンチ型・指標の見方~

1-4.デメリット…TOPIX入りするまで、長期保有が必要

「誰も上場を予想していない株」というのは、当然「上場まで時間がかかる」わけです。となると「長期保有」が必要になります。

しかし、「上がるか上がらないかわからない株を、長期保有する」というのは、なかなか難しいです。

  • 金銭的余裕が必要
  • 自分の「見る目」に自信が必要

ということ。もちろん、後者は「ただの自信」でなく、本当に研究していなくてはいけません。

コバンザメ投資法は、90年代後半~2000年頃は、名前通り「楽な方法」でした。しかし、今は全然楽な手法ではないのです(代わりに、本質的になりました)。

2.基本用語

コバンザメ投資法の基本用語・知識です。

  1. 『TOPIX』とは
  2. 『TOPIX入り』とは
  3. 『TOPIX入りする株』の条件
  4. 『TOPIX入り』の株が売られている市場

2-1.TOPIX…東証一部、全部の株価を「指数化」したもの

TOPIXの日本語は「東証株価指数」。内容は、

  • 今の東証一部の株を、全部見る
  • その「時価総額」を合計する
  • その合計を、1968年の合計と比較する
  • 68年を「100」として、現代を「110」「113」のように出す

というもの。要は「日本の株式市場全体が、どれだけ活気づいているか」という指標です。

(68年は、数学でいう「ゼロ」のように、とりあえずの基準を決めただけで、別に68年と常に比較しているわけではありません

2-2.TOPIX入りとは…東証一部に上場すること

「TOPIX入りする」というのは、上で書いた「計算」に「組み込まれる」ということ。つまり、

  • 正式には「指数の計算対象になる」わけですが、
  • 「計算対象」=「東証一部上場企業」なので、
  • 「TOPIX入り」=「東証1部上場」

…となるわけです。ということで、TOPIX入り=一部上場と考えていいです。

2-3.どんな株が入る?…申請して、認められた企業

上場するには「企業側からの申請」が必要です。東証から「招待状」が届くわけではないのです。

(裏では届いているかも知れませんが、手続きとしては「企業からの申請」が必要です)

  • 多くの企業が、毎年申請する
  • 審査に通った企業だけが上場する

という風です。そのため、次に上場する企業の候補は「申請」を見ればわかるのです。

2-4.対象の市場…東証二部・マザーズ・ジャスダック

いきなり「東証一部」に上場する企業は、めったにありません(2014年のリクルートなど、ごく一部です)。多くの企業は、

  • 東証二部
  • マザーズ
  • ジャスダック
  • 名証(名古屋証券取引所)
  • 福証(福岡証券取引所)

などの「マイナーリーグ」から昇格するのです。(名証・福証・ジャスダックからは、やや少なめですが)

ということで、コバンザメ投資法では、主に「東証二部・マザーズ」の銘柄が対象になります。

3.やり方・流れ

基本的なやり方・流れは、

  1. 「上場申請」した企業をチェック
  2. 有望な株を買っておく
  3. TOPIX入りし、株価が上がるのを待つ

という風です。以下、詳しく説明します。

3-1.「上場申請」した企業をチェック

これは「公式の一覧」はありません。投資ブロガーさんなどが「自分で調べて一覧にしている」記事は、たまにあります。しかし、

  • まとめるのに苦労する
  • ライバルを増やすだけことになる

ので、やりたがる人はあまりいません。

「上場申請」自体は、公式のニュースになります。たとえば、

  • 2015年9月、東証二部の
  • 「サイバーリンクス」の一部上場申請を、
  • 「フィスコ」などのシンクタンクが報道

しています。こういう情報を、個別に拾っていけばいいのです。

現時点でイマカブが確認する限りは、「上場申請中の企業一覧」のようなサイト・ページはありません。「上場.com」さんのような「上場情報に特化した」サイトでもありません。

有料の投資情報サービスを利用すれば、こうした一覧はすぐ手に入るでしょう。とりあえず、無料でネットで調べたいという人は、地道に個別のニュースを調べる…しかなさそうです。

3-2.有望な株を買っておく

上場申請した企業を調べたら、その中で「有望な株」を買っておきます。もし上場したら、それでほぼ利益が出るわけです。(IPO株投資としての効果もあります)

ただ、当然そういう「有望株」はみんな買っています。というわけで、

  • 申請をした段階ですでに「高値」
  • 利益の幅も小さくなる

…ということ。

やるからには「誰も上場すると思っていない」銘柄を買う必要があります(これは後述します)。

3-3.TOPIX入りし、株価が上がるのを待つ

株を買ったら、あとはTOPIX入りし、株価が上がるのを待つだけ。…というのが基本の売買のタイミングですが、下のような「別のタイミング」もあります。

  • 「上場発表日」の数日前に買い、発表日に売る
  • 発表後の「中だるみ」の時期に買い、月末の「TOPIX買い」で売る
  • 「TOPIX買い」の数日前に買い、「TOPIX買い」で売る

それぞれ、ここまで書いたタイミングとの違いを説明すると、

  • 上場発表…「申請」の発表ではなく「審査通過の発表」
  • 中だるみ…上場が決定してから、ファンドがその銘柄を買うまでの期間
  • TOPIX買い…ファンドが「新たにTOPIX入りする株を買う」のは、月末と決まっている

つまり、

  • 申請発表…コバンザメ投資家にとっては、最初の加熱
  • 上場発表…普通の素人投資家にとって、最初の加熱
  • TOPIX買い…最後の加熱(これを過ぎたら、普通の株)

ということです。そして「中だるみ」を狙うのは、

  • 上場発表の加熱が終わる
  • 価格が少し落ちる
  • しかし、月末の「TOPIX買い」で上がるのがわかっている
  • それを狙って買う

という手法です。

…このように解説したものの、これは2005年頃まで通用したタイミングの取り方。現在ではほぼ通用しません。(買うタイミングが遅すぎるわけです)

コバンザメ投資法をやるなら、先に説明した通り、少なくとも「申請発表」の時点で目をつけておくべきです。

4.メリット・成功例

4-1.予想が当たればブルー・オーシャン

コバンザメ投資法以外でも言えることですが「予想が当たれば」一人勝ちです。

  • 申請しても、落ちる企業がある
  • 申請しても、自主的に取り消す企業がある

ということで、「申請企業への投資」は、絶対に成功するとは限らないのです(当然ですが)。

  • だから、知っていても投資しない人が多い
  • その中で投資しておけば、利益は大きい

ということです。「自主的に取り消す」では、「全然問題がない企業」でも、こうなることがあります。


 4-1-1.申請を取り消した企業の実例

たとえば「二部」上場の「日本和装」。ここは以前、何も問題がないのに上場申請を辞退したことがあります。理由は、「反社会勢力の嫌がらせを受けた」ためです。

  • 街宣車が本社周辺を取り囲んだ
  • 「社長は粉飾決算をしている」と連呼した

上場申請中にこういうトラブルが起きると、大抵はどの道通らないので、辞退せざるを得ません。(反社会勢力は、日本和装からお金を引き出そうとしていたと思われます)

その後、日本和装は潔白だったことがわかり、再申請で上場しました。しかし、こういう「突発的なトラブル」もありうるわけです。(天災ならぬ人災ですね)

そのため、

  • 申請中の企業を探す
  • 間違いなく「良い会社」を買う

という正しい方法を実践しても、成功するとは限りません。

「って、それデメリットじゃん」と思う人が多いでしょう。違います。

  • このように難しい
  • だからこそ、成功した時「一人勝ち」できる

…というわけです。「難しい=メリット」なのです。

(これは、ある近江商人がズバリ表現したエピソードがあります。良かったら読んでみてください。人生全般に通じる教えです)

4-2.2013年以降の成功例

「コバンザメ投資法は、2000年代前半で終わった」と言われていますが、まだ生きています。たとえば>2014年では「アサンテ」の銘柄で、多くの投資家が成功しました。

アサンテは2013年の11月末に、東証一部に上場申請。しかし、株価は上がるどころか急落し、割安で放置されていました。

そして、5ヶ月後の2014年4月には「一部上場」したのですが、申請時にアサンテを買いまくった人は、大きな利益を出したわけです。

 4-2-1.アサンテは、なぜ株価が急落したのか?

理由は主に3つあって、

  • 発表と同時に、経営陣が持ち株を売った(経営陣が売ること自体、評価が下がる)
  • その直前の値動きが、やや不自然だった(インサイダーが疑われた)
  • シロアリ防除という、あまり知られていない地味な会社だった

ということです。上の2つが不安材料な上に、地味な業容から「アサンテ?どこそれ」と思われたわけです。よく知らない企業で、しかも申請発表と同時に急落している。

「これは買わないでおこう」と誰もが思うわけですね。しかし、結果は見事上場し、株価は急上昇しました。

現在でも、こういう「ボロ儲け」のチャンスはあるわけです。ただ、これはもはや「コバンザメ」というよりも、ウォーレン・バフェットなどのスタイルに近いです。

「価値があるのに、割安で放置されている株を買う」という「割安株投資」ですね。

5.デメリット・注意点

デメリット・注意点は下の通り。

  1. 単純なコバンザメは、現代ではもう通じない
  2. 長期保有する資金力&見る目が必要

「見る目」は下の2通りです。

  • 「上場申請しても、値上がりしない銘柄」で、有望株を探す
  • 「まだ上場申請してない」有望株を探す

以下、詳しく説明します。

5-1.単純なコバンザメは、現代ではもう通じない

ここまで書いた通り、単純なコバンザメ投資法は、もう2000年代はじめに終わっています。単純な方法というのは、

  • 上場が決まった株を買う
  • TOPIX買いの前に売る

というものですね。これは誰でもできるもので、だからこそ投資家が殺到し、あっという間に通じなくなったのです。こういう「簡単な方法」は、一瞬しか通じないんですね。

ということで、従来通りのこういう「コバンザメ投資法」を、今もやろうとしている人がいたら「それは無理」と思ってください。

5-2.長期保有する資金力&見る目が必要

結局、現在のコバンザメ投資は、

  • 上場申請中の企業から、価値ある企業を見つける
  • その株を、上場するまで保有しておく

という地道なステップが必要です。これをするには、

  • 長期保有できる資金力
  • 企業を見抜く目

が必要なのです。結局「普通の中長期投資」に近くなるんですね。「申請→上場」は、早ければ半年以内ですが、そういう有望株にはみんな投資しています。

大きな利益を得るには、「むしろ申請前」から、長期保有すべきなのです。それができる資金力・鑑識眼が必要なんですね。

6.コツ・ポイント

コバンザメ投資法のコツ・ポイントは、あります。ただ「裏ワザ」ではなく、下のようなものです。

  1. 「上場申請しても、人気が上がっていない企業」を狙う
  2. 「二部上場企業」をチェックする

(もし、裏ワザのような方法を紹介する教材などがあれば、それは株でもFXでも詐欺なので、買わないようにしましょう)

6-1.「上場申請しても、人気が上がっていない企業」を狙う

先に書いたアサンテの例のように、「上場申請したのに、株価が上がらない」ということは、しばしばあります。アサンテの場合は「不穏な材料」が同時に発生したためですが、それでも、

  • 上場申請が通る可能性はある
  • ビジネス自体は優良である

という評価はありました。

たとえば「億の近道」では、

  • ファンダメンタル(経営指標)は、良好
  • ビジネスモデル自体も、JAとの連携など、非常に堅実
  • オーナーの株式売却のタイミングは確かに疑問だが、
  • ここの株価が下落したのは、むしろチャンス

と評価しています。↓

【参考URL】http://okuchika.net/?eid=4724

このように「上場申請しても、株価が上がらない」ことはしばしばあるのです。そういう企業を見て、

  • なぜ上がらないのか
  • 相場が間違っているのか、その企業が間違っているのか

…ということを、徹底調査することが必要です。(ボロ儲けするのも楽じゃないですね。笑)

6-2.「二部上場企業」をチェックする

「株を始める」というと、多くの人は「東証一部」に投資するでしょう。しかし、「実は二部に投資した方がいい」ことも多いんですね。理由は、

  • 小さい資金でも買える「小型株」が多い
  • コバンザメ投資法のような「大儲け」のチャンスがある
  • マイナーで地味な業種の企業は、個人投資家も研究したがらない

ということです。アサンテの場合は「シロアリ防除」ですが、こういう「退屈な会社」は、みんな研究したがらないのです。

(エイベックスなどは、喜んでみんな調査するでしょうけどね)

ということで、これはコバンザメ投資法だけに限った話ではなく「投資全般」で、「むしろ二部を研究する方がいい」という発想もあります。

(あくまで一つの考え方ですが)

7.別のコバンザメ投資法

コバンザメ投資法は「TOPIX入りする株を狙う」だけではありません。他の手法もあります。

  1. インサイダー取引を「利用」する
  2. 有名投資家・ファンドの真似をする

という方法もあります。以下、これらを解説します。

7-1.インサイダー取引を「利用」する

インサイダー取引とは「内部情報が漏れている」取引のこと。特定の関係者だけが儲かるので、当然違法です。しかし、

  • これを外部から「発見する」
  • その株に投資して、「利用する」

というのは、完全に合法です。こういう形の「コバンザメ投資」もあるわけです。

この手法は、インサイダー投資に詳しい個人投資家の、高島ゆう氏が推奨されています。

参考書籍:『仕手株・インサイダー株でがっちり儲ける コバンザメ投資術』(高島ゆう/アスペクト/2013年)

やり方をざっくり書くと、

  1. 毎日の株の「出来高ランキング」を見る
  2. 目立たないように「10位以下」で上昇している銘柄に注目
  3. 上昇するような材料があったかチェック
  4. なかったら、その株が怪しい

ということです。もちろん、ひんぱんには見つからない(そんなにインサイダーがあったら怖い)ですが、たまに見つかったら、その利益は大きいわけです。

見つけ方は他にも「経営者が行くようなバー・風俗店」などの「リアル情報源」もありますが、詳しくはまた別記事で紹介させていただきたいと思います。

7-2.有名投資家の銘柄をそのまま買う

これは一番わかりやすい「コバンザメ」です。ギターでも漫画でも、最初は「プロの真似」から入るものですが、「むしろずっと、プロの真似でいんじゃね?」というスタイルです。

たとえば、ウォーレン・バフェットが率いる「バークシャー・ハサウェイ社」。ここに「コバンザメ」したとしたら、

  • 1965年に100万円を、バークシャーと同じ銘柄に投資する
  • 以後、ずっと同じ運用をする

…という条件で、2014年に何と、69億円になっているのです。100万円が、50年で「69億円」になるんですね。

 もし「1000万円」投資していたら?

そして、もし「1000万円」を投資していたら…。何と「910億438万円」です。「1000万円を50年」だったら、日本人でも多くの個人投資家が実行可能です。

たとえば「30才」でこれを始めたら、80才の老後までに「910億円」の資産ができるのです。嘘のようですが、「バフェット並に、50年信用できる投資家の真似をしていたら」、それだけでこうなるんですね。

 一番いいのは、バフェットにコバンザメすること?

こうして見ると、利益面でも投資の本質でも、「一番いいのは、バフェットのような投資家にコバンザメすることでは?」とすら思えます。「利益確定をせず、ひたすら長期投資を続ける」という信念と経済力が必要ですが。

大部分の人は、生活を切り詰めることで、それなりのお金を捻出できるはずです。「69億」まではいかなくても「100万円が50年後に10億円に化ける」くらいなら、十二分にありえるでしょう。

こういうデータを見るたびに「1円でも多く投資に回す」ことが、いかに重要か実感します。

8.コバンザメ投資法に関連する投資家

コバンザメ投資法を広めた、あるいはその対象となっている投資家さん達です。

  1. J-Coffee 氏
  2. 伊藤道臣 氏
  3. 高島ゆう 氏
  4. 竹田和平 氏

8-1.J-Coffee氏

コバンザメ投資法を、最初に世に広めた投資家さんです。「カリスマ投資家」と言ったら、J-Coffee氏を想像する世代の方も多いでしょう。

現在「コバンザメ投資法」と検索すると、All Aboutの記事がトップで出ますが、そこでも「J-Coffee氏が広めた手法」として、紹介されています。

当然ながら、オリジナルの手法を編み出せるということは「投資全般の知識・経験も豊富」ということ。「J_Coffeeの株式投資日記」というサイトには、膨大な情報・コラムが掲載されています。

(2005年に更新停止し、現在はミラーサイトのみ公開)

著作は『東証1部昇格銘柄を事前にキャッチして資金を5倍にしたJ-Coffee投資法』。2003年の本ですが、むしろこういう本が役立つことも多いです。古典と同じで、

  • 今も昔も、変わらなかったものは何か?
  • 逆に、廃れたものは何か?

というヒントが得られるからです。コバンザメ投資のテクニックよりも、「J-Coffee氏が、それを発見するに至った過程」を学ぶといいでしょう。

8-2.伊藤道臣氏

伊藤道臣氏は、「全日本株式投資選手権」の代表取締役。野村投資顧問のファンドマネージャーとしても、活躍されていた方です。

コバンザメ投資法に関する書籍を最初に書かれた方のが、この伊藤氏。『全日本株式投資選手権優勝者J‐Coffeeのコバンザメ投資法』(2003年/あっぷる出版)というタイトルです。

この本のタイトルからよく「J-Coffee氏と、伊藤道臣氏は同一人物」と勘違いされがちですが、お二人は別の方です。先に伊藤氏が、J-Coffee氏の手法を、この書籍で紹介されたんですね。

その後、J-Coffee氏ご本人も、上に書かれた書籍を出版された…、といういきさつです。ちなみに、伊藤氏はファンドのマネージャーとして活躍されただけではなく、ご自身の資産も1500万円から4億円まで増やされています。

8-3.高島ゆう氏

「インサイダー型」のコバンザメ投資術を提唱されている、インサイダー投資に精通した投資家さんです。

  • 『仕手株・インサイダー株でがっちり儲ける コバンザメ投資術』
  • 『インサイダー取引で儲ける人たち』

などの著書があります。

『週刊ポストセブン』などで「社員のSNSの書き込みから、内部情報につながるヒントを見つける」という手法を紹介されていますが、J-Coffee氏の時代とは違う「SNS時代のコバンザメ投資法」と言えるでしょう。

8-4.竹田和平氏

竹田和平氏は「日本のウォーレン・バフェット」とも呼ばれる大投資家。「上場企業100社の大株主」というポートフォリオは、日本の個人投資家で最大です。

彼の保有銘柄は「竹田和平銘柄」とも呼ばれ、多くの投資家がチェックしています。竹田氏のような大株主が、その会社の株を手放し始めた時は、「何か、トップだけが気づくような材料があった」と推測し、多くの人が売りに走ります。

そうした大株主の判断が正しいかはともかく、「それによって他の投資家も動く」以上、竹田氏のような大物の動きには、ある程度着目しておいた方がいいでしょう。

(ちなみに、竹田和平氏は「たまごボーロ」を製造している「竹田製菓」の創立者です)

9.コラム&参考資料一覧

ここまで書いた通り、

  • コバンザメ投資法は、もはや「簡単な方法」ではない
  • しかし、だからこそライバルが少なくていい

わけです。それを示す近江商人のエピソードを書きます。また、参考書籍・サイト一覧も記します。

9-1.コラム:ある近江商人のエピソード

「難しいのは、いいことだ」という教えです。簡単にまとめると、下のようなエピソードです。

  • 二人の近江商人が、山を歩いていた。
  • 両方、山の向こうに商品(呉服)を運ぶ途中だった
  • 一人の商人が言った
  • 「この山が、もっと低ければいいのに」
  • それを聞いて、もう一人の商人が言った」
  • 「いや、もっと高ければいい。そうすれば、私たち以外、誰も行けない」

これは、「近江商人の、もう一山」という別のパターンでも語られます。言い伝えなので、伝える人によってそれぞれの表現になっていますが、この思想は正しいでしょう。聖書でも、

「狭き門から入れ。滅びに至る道は、広く大きい」

といいますからね。(新約聖書『マタイの福音書』7章13節)

テクニカル投資の始祖のウィリアム・ギャンも敬虔なクリスチャンでしたが、投資やビジネスの本質と、宗教の思想はかなり一致します。

社会学者・マックス・ウェーバーの代表作『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(通称『プロ倫』)は、この一致を最初に「学問的に」示したものです。

9-2.参考書籍・サイト一覧

本記事を書くにあたって、下の書籍・サイト・ブログを参考にさせていただきました。

 書籍

  • 『東証1部昇格銘柄を事前にキャッチして資金を5倍にしたJ-Coffee投資法』

    (J-Coffee/2003年/あっぷる出版社)

  • 『全日本株式投資選手権優勝者J‐Coffeeのコバンザメ投資法』

    (伊藤道臣/2003年/あっぷる出版社)

  • 『仕手株・インサイダー株でがっちり儲ける コバンザメ投資術』

    (高島ゆう/2013年/アスペクト)

  • 『インサイダー取引で儲ける人たち』

    (高島ゆう/2011年/アスペクト)

  • 『週刊ポスト』2012年10月5日号 -特集:インサイダー取引のすべて-

    (2012年/小学館)

  • 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』

    (マックス・ウェーバー/大塚久雄訳/岩波書店/1989年)

 サイト・ブログ(敬称略)

  • All About『トピックス投資「コバンザメ投資法」の極意

    http://allabout.co.jp/gm/gc/13718/

  • 『J-Coffeeの株式投資日記』

    http://jcoffee.g2s.biz/

  • 日本和装ホールディングス「株式上場までの道」第6回

    http://wasou.com/passion/06.html

  • 億の近道『需給悪化で株価下落の銘柄研究(その1アサンテ)』

    http://okuchika.net/?eid=4724

  • 株でサラリーマン卒業『コバンザメ投資法が有効となる条件とは』

    http://kablog.doorblog.jp/archives/37667220.html

(補足…All Aboutで「トピックス投資」とありますが、他にも「イベント投資法」などの別名が、コバンザメ投資法にはあります)

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