■ コバンザメ投資法とは
- 「TOPIX入りする株」を先に買い、TOPIX入りと同時に売る
- 2000年代はじめまでは通じたが、今は難しい
- より「本質的な」コバンザメは、今でも通じる
- 2014年上場の「アサンテ」はその好例
目次(概要)
- 1.コバンザメ投資法とは
- 2.基本用語
- 3.やり方・流れ
- 4.メリット・成功例
- 5.デメリット・注意点
- 6.コツ・ポイント
- 7.別のコバンザメ投資法
- 8.コバンザメ投資法に関連する投資家
- 9.コラム・参考資料一覧
詳細目次
- 1.コバンザメ投資法とは
- 1-1.概要…今後『TOPIX』に入るだろう銘柄を買う
- 1-2.由来…なぜ『コバンザメ』なのか?
- 1-3.メリット…予想が当たれば、一人勝ち
- 1-4.デメリット…TOPIX入りするまで、長期保有が必要
- 2.基本用語・知識
- 2-1.TOPIX…東証一部、全部の株価を「指数化」したもの
- 2-2.TOPIX入りとは…東証一部に上場すること
- 2-3.どんな株が入る?…申請して、認められた企業
- 2-4.対象の市場…東証二部・マザーズ・ジャスダック
- 3.やり方・流れ
- 3-1.「上場申請」した企業をチェック
- 3-2.有望な株を買っておく
- 3-3.TOPIX入りし、株価が上がるのを待つ
- 4.メリット・成功例
- 4-1.予想が当たればブルー・オーシャン
- 4-2.2013年以降の成功例
- 5.デメリット・注意点
- 5-1.単純なコバンザメは、現代ではもう通じない
- 5-2.長期保有する資金力&見る目が必要
- 6.コツ・ポイント
- 6-1.「上場申請しても、人気が上がっていない企業」を狙う
- 6-2.「二部上場企業」をチェックする
- 7.別のコバンザメ投資法
- 7-1.インサイダー株を発見する
- 7-2.有名投資家の銘柄をそのまま買う
- 8.コバンザメ投資法に関連する投資家
- 8-1.J-Coffee 氏
- 8-2.伊藤道臣 氏
- 8-3.高島ゆう 氏
- 8-4.竹中和平 氏
- 9.コラム・参考資料一覧
- 9-1.近江商人のエピソード
- 9-2.参考書籍・サイト一覧
1.コバンザメ投資法とは
コバンザメ投資法の概要・由来・メリット・デメリットです。
- 概要…今後『TOPIX』に入るだろう銘柄を買う
- 由来…なぜ『コバンザメ』なのか?
- メリット…予想が当たれば、一人勝ち
- デメリット…TOPIX入りするまで、長期保有が必要
1-1.概要…今後『TOPIX』に入るだろう銘柄を買う
TOPIXは、簡単に言うと「東証一部の上場企業」です。(正確な説明はこちら)
「上場する企業を買う」というと「IPO株投資」を連想する人も多いでしょう。IPO株投資との違いは、
- IPO株投資は、当選して株券を買えた人しかできない
- しかし、コバンザメ投資法に抽選は関係ない
- 二部やマザーズの時から「長期保有」しておけばいい
ということです。あと、
- IPO…「東証一部」だけでなく「マザーズ上場」なども対象
- コバンザメ…「東証一部」のみ
というのも違いです。
1-2.由来…なぜ『コバンザメ』なのか?
これは「ファンド」にくっつくからです。
- ファンド…ジンベイザメ
- 自分…コバンザメ
ということですね。
くっつくのは主に「TOPIX連動型」の投資信託です。簡単に言うと「東証一部の銘柄が、全部揃ったセット株」です。
「セット株」である以上、新たに「一部上場」した企業があったら、ファンドは嫌でも入れなければいけません。そして、どのファンドでも「TOPIX連動型」は、かなりの規模です。つまり、
- 上場が決まった時点で、「ファンドによって相当買われる」ことがわかっている
- その「ファンドの買い」にくっついて、利益を得る
というわけです。
(これを読んだ時もやはり「IPO株投資に似ている」と思うでしょうが、違いは先の通りです。本質的には、確かに似ています)
1-3.メリット…予想が当たれば、一人勝ち
当然ですが「誰もが上場を予想している銘柄」を買っても、利益はありません。
- 誰も上場を予想していない
- 安値で放置されている
という株を買い込み、それが的中して上場した時、一人勝ちできます。
つまり、「コバンザメ投資法のメリット」というより、「予想が的中した時のメリット」ですね。こういう点では、コバンザメ投資法は、「割安株投資法」にも似ています。
(割安株投資法については、下の記事で詳しく書いています。↓)
1-4.デメリット…TOPIX入りするまで、長期保有が必要
「誰も上場を予想していない株」というのは、当然「上場まで時間がかかる」わけです。となると「長期保有」が必要になります。
しかし、「上がるか上がらないかわからない株を、長期保有する」というのは、なかなか難しいです。
- 金銭的余裕が必要
- 自分の「見る目」に自信が必要
ということ。もちろん、後者は「ただの自信」でなく、本当に研究していなくてはいけません。
コバンザメ投資法は、90年代後半~2000年頃は、名前通り「楽な方法」でした。しかし、今は全然楽な手法ではないのです(代わりに、本質的になりました)。
2.基本用語
コバンザメ投資法の基本用語・知識です。
2-1.TOPIX…東証一部、全部の株価を「指数化」したもの
TOPIXの日本語は「東証株価指数」。内容は、
- 今の東証一部の株を、全部見る
- その「時価総額」を合計する
- その合計を、1968年の合計と比較する
- 68年を「100」として、現代を「110」「113」のように出す
というもの。要は「日本の株式市場全体が、どれだけ活気づいているか」という指標です。
(68年は、数学でいう「ゼロ」のように、とりあえずの基準を決めただけで、別に68年と常に比較しているわけではありません)
2-2.TOPIX入りとは…東証一部に上場すること
「TOPIX入りする」というのは、上で書いた「計算」に「組み込まれる」ということ。つまり、
- 正式には「指数の計算対象になる」わけですが、
- 「計算対象」=「東証一部上場企業」なので、
- 「TOPIX入り」=「東証1部上場」
…となるわけです。ということで、TOPIX入り=一部上場と考えていいです。
2-3.どんな株が入る?…申請して、認められた企業
上場するには「企業側からの申請」が必要です。東証から「招待状」が届くわけではないのです。
(裏では届いているかも知れませんが、手続きとしては「企業からの申請」が必要です)
- 多くの企業が、毎年申請する
- 審査に通った企業だけが上場する
という風です。そのため、次に上場する企業の候補は「申請」を見ればわかるのです。
2-4.対象の市場…東証二部・マザーズ・ジャスダック
いきなり「東証一部」に上場する企業は、めったにありません(2014年のリクルートなど、ごく一部です)。多くの企業は、
- 東証二部
- マザーズ
- ジャスダック
- 名証(名古屋証券取引所)
- 福証(福岡証券取引所)
などの「マイナーリーグ」から昇格するのです。(名証・福証・ジャスダックからは、やや少なめですが)
ということで、コバンザメ投資法では、主に「東証二部・マザーズ」の銘柄が対象になります。
3.やり方・流れ
基本的なやり方・流れは、
という風です。以下、詳しく説明します。
3-1.「上場申請」した企業をチェック
これは「公式の一覧」はありません。投資ブロガーさんなどが「自分で調べて一覧にしている」記事は、たまにあります。しかし、
- まとめるのに苦労する
- ライバルを増やすだけことになる
ので、やりたがる人はあまりいません。
「上場申請」自体は、公式のニュースになります。たとえば、
- 2015年9月、東証二部の
- 「サイバーリンクス」の一部上場申請を、
- 「フィスコ」などのシンクタンクが報道
しています。こういう情報を、個別に拾っていけばいいのです。
現時点でイマカブが確認する限りは、「上場申請中の企業一覧」のようなサイト・ページはありません。「上場.com」さんのような「上場情報に特化した」サイトでもありません。
有料の投資情報サービスを利用すれば、こうした一覧はすぐ手に入るでしょう。とりあえず、無料でネットで調べたいという人は、地道に個別のニュースを調べる…しかなさそうです。
3-2.有望な株を買っておく
上場申請した企業を調べたら、その中で「有望な株」を買っておきます。もし上場したら、それでほぼ利益が出るわけです。(IPO株投資としての効果もあります)
ただ、当然そういう「有望株」はみんな買っています。というわけで、
- 申請をした段階ですでに「高値」
- 利益の幅も小さくなる
…ということ。
やるからには「誰も上場すると思っていない」銘柄を買う必要があります(これは後述します)。
3-3.TOPIX入りし、株価が上がるのを待つ
株を買ったら、あとはTOPIX入りし、株価が上がるのを待つだけ。…というのが基本の売買のタイミングですが、下のような「別のタイミング」もあります。
- 「上場発表日」の数日前に買い、発表日に売る
- 発表後の「中だるみ」の時期に買い、月末の「TOPIX買い」で売る
- 「TOPIX買い」の数日前に買い、「TOPIX買い」で売る
それぞれ、ここまで書いたタイミングとの違いを説明すると、
- 上場発表…「申請」の発表ではなく「審査通過の発表」
- 中だるみ…上場が決定してから、ファンドがその銘柄を買うまでの期間
- TOPIX買い…ファンドが「新たにTOPIX入りする株を買う」のは、月末と決まっている
つまり、
- 申請発表…コバンザメ投資家にとっては、最初の加熱
- 上場発表…普通の素人投資家にとって、最初の加熱
- TOPIX買い…最後の加熱(これを過ぎたら、普通の株)
ということです。そして「中だるみ」を狙うのは、
- 上場発表の加熱が終わる
- 価格が少し落ちる
- しかし、月末の「TOPIX買い」で上がるのがわかっている
- それを狙って買う
という手法です。
…このように解説したものの、これは2005年頃まで通用したタイミングの取り方。現在ではほぼ通用しません。(買うタイミングが遅すぎるわけです)
コバンザメ投資法をやるなら、先に説明した通り、少なくとも「申請発表」の時点で目をつけておくべきです。
4.メリット・成功例
- 4-1.予想が当たればブルー・オーシャン
- └4-1-1.申請を取り消した企業の実例
- 4-2.2013年以降の成功例
- └4-2-1.アサンテは、なぜ株価が急落したのか?
4-1.予想が当たればブルー・オーシャン
コバンザメ投資法以外でも言えることですが「予想が当たれば」一人勝ちです。
- 申請しても、落ちる企業がある
- 申請しても、自主的に取り消す企業がある
ということで、「申請企業への投資」は、絶対に成功するとは限らないのです(当然ですが)。
- だから、知っていても投資しない人が多い
- その中で投資しておけば、利益は大きい
ということです。「自主的に取り消す」では、「全然問題がない企業」でも、こうなることがあります。
■ 4-1-1.申請を取り消した企業の実例
たとえば「二部」上場の「日本和装」。ここは以前、何も問題がないのに上場申請を辞退したことがあります。理由は、「反社会勢力の嫌がらせを受けた」ためです。
- 街宣車が本社周辺を取り囲んだ
- 「社長は粉飾決算をしている」と連呼した
上場申請中にこういうトラブルが起きると、大抵はどの道通らないので、辞退せざるを得ません。(反社会勢力は、日本和装からお金を引き出そうとしていたと思われます)
その後、日本和装は潔白だったことがわかり、再申請で上場しました。しかし、こういう「突発的なトラブル」もありうるわけです。(天災ならぬ人災ですね)
そのため、
- 申請中の企業を探す
- 間違いなく「良い会社」を買う
という正しい方法を実践しても、成功するとは限りません。
「って、それデメリットじゃん」と思う人が多いでしょう。違います。
- このように難しい
- だからこそ、成功した時「一人勝ち」できる
…というわけです。「難しい=メリット」なのです。
(これは、ある近江商人がズバリ表現したエピソードがあります。良かったら読んでみてください。人生全般に通じる教えです)
4-2.2013年以降の成功例
「コバンザメ投資法は、2000年代前半で終わった」と言われていますが、まだ生きています。たとえば>2014年では「アサンテ」の銘柄で、多くの投資家が成功しました。
アサンテは2013年の11月末に、東証一部に上場申請。しかし、株価は上がるどころか急落し、割安で放置されていました。
そして、5ヶ月後の2014年4月には「一部上場」したのですが、申請時にアサンテを買いまくった人は、大きな利益を出したわけです。
■ 4-2-1.アサンテは、なぜ株価が急落したのか?
理由は主に3つあって、
- 発表と同時に、経営陣が持ち株を売った(経営陣が売ること自体、評価が下がる)
- その直前の値動きが、やや不自然だった(インサイダーが疑われた)
- シロアリ防除という、あまり知られていない地味な会社だった
ということです。上の2つが不安材料な上に、地味な業容から「アサンテ?どこそれ」と思われたわけです。よく知らない企業で、しかも申請発表と同時に急落している。
「これは買わないでおこう」と誰もが思うわけですね。しかし、結果は見事上場し、株価は急上昇しました。
現在でも、こういう「ボロ儲け」のチャンスはあるわけです。ただ、これはもはや「コバンザメ」というよりも、ウォーレン・バフェットなどのスタイルに近いです。
「価値があるのに、割安で放置されている株を買う」という「割安株投資」ですね。
5.デメリット・注意点
デメリット・注意点は下の通り。
「見る目」は下の2通りです。
- 「上場申請しても、値上がりしない銘柄」で、有望株を探す
- 「まだ上場申請してない」有望株を探す
以下、詳しく説明します。
5-1.単純なコバンザメは、現代ではもう通じない
ここまで書いた通り、単純なコバンザメ投資法は、もう2000年代はじめに終わっています。単純な方法というのは、
- 上場が決まった株を買う
- TOPIX買いの前に売る
というものですね。これは誰でもできるもので、だからこそ投資家が殺到し、あっという間に通じなくなったのです。こういう「簡単な方法」は、一瞬しか通じないんですね。
ということで、従来通りのこういう「コバンザメ投資法」を、今もやろうとしている人がいたら「それは無理」と思ってください。
5-2.長期保有する資金力&見る目が必要
結局、現在のコバンザメ投資は、
- 上場申請中の企業から、価値ある企業を見つける
- その株を、上場するまで保有しておく
という地道なステップが必要です。これをするには、
- 長期保有できる資金力
- 企業を見抜く目
が必要なのです。結局「普通の中長期投資」に近くなるんですね。「申請→上場」は、早ければ半年以内ですが、そういう有望株にはみんな投資しています。
大きな利益を得るには、「むしろ申請前」から、長期保有すべきなのです。それができる資金力・鑑識眼が必要なんですね。
6.コツ・ポイント
コバンザメ投資法のコツ・ポイントは、あります。ただ「裏ワザ」ではなく、下のようなものです。
(もし、裏ワザのような方法を紹介する教材などがあれば、それは株でもFXでも詐欺なので、買わないようにしましょう)
6-1.「上場申請しても、人気が上がっていない企業」を狙う
先に書いたアサンテの例のように、「上場申請したのに、株価が上がらない」ということは、しばしばあります。アサンテの場合は「不穏な材料」が同時に発生したためですが、それでも、
- 上場申請が通る可能性はある
- ビジネス自体は優良である
という評価はありました。
たとえば「億の近道」では、
- ファンダメンタル(経営指標)は、良好
- ビジネスモデル自体も、JAとの連携など、非常に堅実
- オーナーの株式売却のタイミングは確かに疑問だが、
- ここの株価が下落したのは、むしろチャンス
と評価しています。↓
【参考URL】http://okuchika.net/?eid=4724
このように「上場申請しても、株価が上がらない」ことはしばしばあるのです。そういう企業を見て、
- なぜ上がらないのか
- 相場が間違っているのか、その企業が間違っているのか
…ということを、徹底調査することが必要です。(ボロ儲けするのも楽じゃないですね。笑)
6-2.「二部上場企業」をチェックする
「株を始める」というと、多くの人は「東証一部」に投資するでしょう。しかし、「実は二部に投資した方がいい」ことも多いんですね。理由は、
- 小さい資金でも買える「小型株」が多い
- コバンザメ投資法のような「大儲け」のチャンスがある
- マイナーで地味な業種の企業は、個人投資家も研究したがらない
ということです。アサンテの場合は「シロアリ防除」ですが、こういう「退屈な会社」は、みんな研究したがらないのです。
(エイベックスなどは、喜んでみんな調査するでしょうけどね)
ということで、これはコバンザメ投資法だけに限った話ではなく「投資全般」で、「むしろ二部を研究する方がいい」という発想もあります。
(あくまで一つの考え方ですが)
7.別のコバンザメ投資法
コバンザメ投資法は「TOPIX入りする株を狙う」だけではありません。他の手法もあります。
という方法もあります。以下、これらを解説します。
7-1.インサイダー取引を「利用」する
インサイダー取引とは「内部情報が漏れている」取引のこと。特定の関係者だけが儲かるので、当然違法です。しかし、
- これを外部から「発見する」
- その株に投資して、「利用する」
というのは、完全に合法です。こういう形の「コバンザメ投資」もあるわけです。
この手法は、インサイダー投資に詳しい個人投資家の、高島ゆう氏が推奨されています。
参考書籍:『仕手株・インサイダー株でがっちり儲ける コバンザメ投資術』(高島ゆう/アスペクト/2013年)
やり方をざっくり書くと、
- 毎日の株の「出来高ランキング」を見る
- 目立たないように「10位以下」で上昇している銘柄に注目
- 上昇するような材料があったかチェック
- なかったら、その株が怪しい
ということです。もちろん、ひんぱんには見つからない(そんなにインサイダーがあったら怖い)ですが、たまに見つかったら、その利益は大きいわけです。
見つけ方は他にも「経営者が行くようなバー・風俗店」などの「リアル情報源」もありますが、詳しくはまた別記事で紹介させていただきたいと思います。
7-2.有名投資家の銘柄をそのまま買う
これは一番わかりやすい「コバンザメ」です。ギターでも漫画でも、最初は「プロの真似」から入るものですが、「むしろずっと、プロの真似でいんじゃね?」というスタイルです。
たとえば、ウォーレン・バフェットが率いる「バークシャー・ハサウェイ社」。ここに「コバンザメ」したとしたら、
- 1965年に100万円を、バークシャーと同じ銘柄に投資する
- 以後、ずっと同じ運用をする
…という条件で、2014年に何と、69億円になっているのです。100万円が、50年で「69億円」になるんですね。
■ もし「1000万円」投資していたら?
そして、もし「1000万円」を投資していたら…。何と「910億438万円」です。「1000万円を50年」だったら、日本人でも多くの個人投資家が実行可能です。
たとえば「30才」でこれを始めたら、80才の老後までに「910億円」の資産ができるのです。嘘のようですが、「バフェット並に、50年信用できる投資家の真似をしていたら」、それだけでこうなるんですね。
■ 一番いいのは、バフェットにコバンザメすること?
こうして見ると、利益面でも投資の本質でも、「一番いいのは、バフェットのような投資家にコバンザメすることでは?」とすら思えます。「利益確定をせず、ひたすら長期投資を続ける」という信念と経済力が必要ですが。
大部分の人は、生活を切り詰めることで、それなりのお金を捻出できるはずです。「69億」まではいかなくても「100万円が50年後に10億円に化ける」くらいなら、十二分にありえるでしょう。
こういうデータを見るたびに「1円でも多く投資に回す」ことが、いかに重要か実感します。
8.コバンザメ投資法に関連する投資家
コバンザメ投資法を広めた、あるいはその対象となっている投資家さん達です。
8-1.J-Coffee氏
コバンザメ投資法を、最初に世に広めた投資家さんです。「カリスマ投資家」と言ったら、J-Coffee氏を想像する世代の方も多いでしょう。
現在「コバンザメ投資法」と検索すると、All Aboutの記事がトップで出ますが、そこでも「J-Coffee氏が広めた手法」として、紹介されています。
当然ながら、オリジナルの手法を編み出せるということは「投資全般の知識・経験も豊富」ということ。「J_Coffeeの株式投資日記」というサイトには、膨大な情報・コラムが掲載されています。
(2005年に更新停止し、現在はミラーサイトのみ公開)
著作は『東証1部昇格銘柄を事前にキャッチして資金を5倍にしたJ-Coffee投資法』。2003年の本ですが、むしろこういう本が役立つことも多いです。古典と同じで、
- 今も昔も、変わらなかったものは何か?
- 逆に、廃れたものは何か?
というヒントが得られるからです。コバンザメ投資のテクニックよりも、「J-Coffee氏が、それを発見するに至った過程」を学ぶといいでしょう。
8-2.伊藤道臣氏
伊藤道臣氏は、「全日本株式投資選手権」の代表取締役。野村投資顧問のファンドマネージャーとしても、活躍されていた方です。
コバンザメ投資法に関する書籍を最初に書かれた方のが、この伊藤氏。『全日本株式投資選手権優勝者J‐Coffeeのコバンザメ投資法』(2003年/あっぷる出版)というタイトルです。
この本のタイトルからよく「J-Coffee氏と、伊藤道臣氏は同一人物」と勘違いされがちですが、お二人は別の方です。先に伊藤氏が、J-Coffee氏の手法を、この書籍で紹介されたんですね。
その後、J-Coffee氏ご本人も、上に書かれた書籍を出版された…、といういきさつです。ちなみに、伊藤氏はファンドのマネージャーとして活躍されただけではなく、ご自身の資産も1500万円から4億円まで増やされています。
8-3.高島ゆう氏
「インサイダー型」のコバンザメ投資術を提唱されている、インサイダー投資に精通した投資家さんです。
- 『仕手株・インサイダー株でがっちり儲ける コバンザメ投資術』
- 『インサイダー取引で儲ける人たち』
などの著書があります。
『週刊ポストセブン』などで「社員のSNSの書き込みから、内部情報につながるヒントを見つける」という手法を紹介されていますが、J-Coffee氏の時代とは違う「SNS時代のコバンザメ投資法」と言えるでしょう。
8-4.竹田和平氏
竹田和平氏は「日本のウォーレン・バフェット」とも呼ばれる大投資家。「上場企業100社の大株主」というポートフォリオは、日本の個人投資家で最大です。
彼の保有銘柄は「竹田和平銘柄」とも呼ばれ、多くの投資家がチェックしています。竹田氏のような大株主が、その会社の株を手放し始めた時は、「何か、トップだけが気づくような材料があった」と推測し、多くの人が売りに走ります。
そうした大株主の判断が正しいかはともかく、「それによって他の投資家も動く」以上、竹田氏のような大物の動きには、ある程度着目しておいた方がいいでしょう。
(ちなみに、竹田和平氏は「たまごボーロ」を製造している「竹田製菓」の創立者です)
9.コラム&参考資料一覧
ここまで書いた通り、
- コバンザメ投資法は、もはや「簡単な方法」ではない
- しかし、だからこそライバルが少なくていい
わけです。それを示す近江商人のエピソードを書きます。また、参考書籍・サイト一覧も記します。
9-1.コラム:ある近江商人のエピソード
「難しいのは、いいことだ」という教えです。簡単にまとめると、下のようなエピソードです。
- 二人の近江商人が、山を歩いていた。
- 両方、山の向こうに商品(呉服)を運ぶ途中だった
- 一人の商人が言った
- 「この山が、もっと低ければいいのに」
- それを聞いて、もう一人の商人が言った」
- 「いや、もっと高ければいい。そうすれば、私たち以外、誰も行けない」
これは、「近江商人の、もう一山」という別のパターンでも語られます。言い伝えなので、伝える人によってそれぞれの表現になっていますが、この思想は正しいでしょう。聖書でも、
「狭き門から入れ。滅びに至る道は、広く大きい」
といいますからね。(新約聖書『マタイの福音書』7章13節)
テクニカル投資の始祖のウィリアム・ギャンも敬虔なクリスチャンでしたが、投資やビジネスの本質と、宗教の思想はかなり一致します。
社会学者・マックス・ウェーバーの代表作『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(通称『プロ倫』)は、この一致を最初に「学問的に」示したものです。
9-2.参考書籍・サイト一覧
本記事を書くにあたって、下の書籍・サイト・ブログを参考にさせていただきました。
■ 書籍
- 『東証1部昇格銘柄を事前にキャッチして資金を5倍にしたJ-Coffee投資法』
(J-Coffee/2003年/あっぷる出版社)
- 『全日本株式投資選手権優勝者J‐Coffeeのコバンザメ投資法』
(伊藤道臣/2003年/あっぷる出版社)
- 『仕手株・インサイダー株でがっちり儲ける コバンザメ投資術』
(高島ゆう/2013年/アスペクト)
- 『インサイダー取引で儲ける人たち』
(高島ゆう/2011年/アスペクト)
- 『週刊ポスト』2012年10月5日号 -特集:インサイダー取引のすべて-
(2012年/小学館)
- 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
(マックス・ウェーバー/大塚久雄訳/岩波書店/1989年)
■ サイト・ブログ(敬称略)
- All About『トピックス投資「コバンザメ投資法」の極意
http://allabout.co.jp/gm/gc/13718/
- 『J-Coffeeの株式投資日記』
http://jcoffee.g2s.biz/
- 日本和装ホールディングス「株式上場までの道」第6回
http://wasou.com/passion/06.html
- 億の近道『需給悪化で株価下落の銘柄研究(その1アサンテ)』
http://okuchika.net/?eid=4724
- 株でサラリーマン卒業『コバンザメ投資法が有効となる条件とは』
http://kablog.doorblog.jp/archives/37667220.html
(補足…All Aboutで「トピックス投資」とありますが、他にも「イベント投資法」などの別名が、コバンザメ投資法にはあります)