株式投資の本にも、当然「ジャンル」があります。私の分類では、大体下のように分かれます。
- 『入門・基本』系
- 『四季報』系
- 『銘柄推奨』系
- 『テクニカル』系
- 『名著・古典』系
- 『偉人・伝記』系
- 『逆説』系
- 『本質』系
- 『芸能人』系
以下、それぞれどのような本があるか、紹介していきます。
『入門・基本』系
「株の始め方」「株の仕組み」など、基本を教える本。特に株に対して抵抗感を持っている人におすすめです。
- 『はじめての株1年生』(竹内弘樹)
- 『細野真宏の世界一わかりやすい株の本
これらの本は、経験のある投資家の方なら読む必要はありません。しかし、
- 「わかりやすい説明の仕方」を学ぶ
- 「素人投資家が、どういう情報で学んでいるかを知る」
という点では、経験者の方でもヒントになるでしょう。
『四季報』系
「会社四季報」は、「会社の百科事典」とも言うべきもの。上場企業すべての、財務情報が書かれています。
四季報には関連本が多くあり、例えば下のようなものがあります。
- 解説本
- 業界地図
- 米国四季報
- 中国二季報
…というもの。中国株は「四季報」ではなく「二季報」です。「業界地図」というのは、「この業界でA社はこの立ち位置、B社はこの位置…」というようなもの。
地図というより「マインドマップ」みたいなものです。「四季報は、数字の羅列で読みづらい…」という人は、この業界地図も合わせて読むといいでしょう。
なお、四季報はKindleでも買えます。Kindleの特徴として「必要な章だけ買う」ことができるので「医療業界のページだけ買う」なども可能です。
『銘柄推奨』系
ズバリ「この銘柄を買いなさい」と勧める本。時期によっては「古い」こともありますが、改訂版が出ますし、「推奨の理由」は後のなって読んでも参考になります。
(むしろ「実際にどうなったか」がわかる過去の推奨本の方が、参考になったりします)
- 『投資信託はこの9本から選びなさい!30代でも定年後でも、積立だけで3000万円!』(中野晴啓)
- 『新・投資信託にだまされるな! 買うべき投信、買ってはいけない投信』
一応書名も書きましたが、基本的に銘柄推奨は「雑誌・ネット」の方がいいです。当然ですが、速報性がありますからね。
『テクニカル』系
「企業業績の見方」「チャートの見方」などを解説した本。「マインドとかより、とにかくテクニックを知りたい」という人におすすめです。そうでない人も、入門本くらいは読んでおくといいでしょう。
- 『ファンダメンタル投資の教科書』(足立武志)
- 『テクニカル投資の基礎講座』(スタン・ウェンスタイン)
「ファンダメンタル投資」は「企業業績を見て、投資する」という手法。「テクニカル投資」は「チャートを見て、投資する」という手法です。
「同じじゃね?」と思う人もいるでしょうが、違います。チャートは「偶然」で動くこともありますが、年数回の企業業績は「偶然」では動かないからです。
ただ、企業業績も所詮「数字」であり、「その企業・経営者が本物か」という所までは、ファンダメンタル投資では、あまり分析しません(する人ももちろんいます)。
『名著・古典』系
投資の世界にも「歴史的ベストセラー」があります。たとえば下のような本です。
- 『賢明なる投資家』
- 『ウォール街のランダム・ウォーカー』
- 『敗者のゲーム』
『賢明なる投資家』は、ウォーレン・バフェットが師と仰いだ「ベンジャミン・グレアム」のロングセラー。
『ウォール街のランダム・ウォーカー』『敗者のゲーム』は「インデックス投資がベスト」と説いたもの。インデックス投資は、競馬でいうなら「全部の馬に均等にかける」ような「一番負ける確率が低い」やり方です。
『偉人・伝記』系
投資の世界の偉人に焦点を当てた伝記やノンフィクション。たとえば下のような本があります。
- ウォーレン・バフェット…『スノーボール』
- ジョージ・ソロス…『ソロス』
投資家の伝記は、海外ではもっと出ているようですが、日本語訳は少ないです。日本では投資家に悪いイメージがあるので、需要がないのでしょう。
バフェットの伝記や名言集は、「哲学書」に近いもの。「投資は興味ないけど、哲学には興味がある」という人の、入り口に最適です。
『大物の手法』系
「伝記」は出ていなくても、大物投資家の手法については、多くの本が出ています。
- ウィリアム・オニール…『オニールの成長株発掘法』
- ピーター・リンチ…『ピーター・リンチの株で勝つ』
ウィリアム・オニールは「グロース株投資」の第一人者。グロース株(成長株)とは、「これから大幅に成長が見込める株」のことです。そういう株であれば「たとえ高くても買う」というのが、この手法の特徴です。
ピーター・リンチは、バフェットと並ぶ「バリュー投資」の代表。「実力より安く売られている企業の株を買う」という手法です。
「手法」とはいうものの、どちらも「本質的」なので「すぐに実践で役立つ」というものではありません。しかし、プレッシャーがかかる大事な場面で本当に役立つのは、こういう名著です。
『逆説』系
多くの個人投資家の「常識」を否定する本。
もちろん、これらの本に対する専門家の反論もあるので、これらの本が絶対に正しいとは限りません。
- 『なぜ投資のプロはサルに負けるのか』(藤沢数希)
- 『投資バカ ~賢い人は金融機関を信じない』(中野晴啓)
『なぜ投資の~』では、「プロの投資家の大部分は、利益を出していない」「投資をするなら、安全なインデックス投資などの方法で」ということが書かれています。
『投資バカ』では「銀行が薦めてくる投資信託を、絶対に買ってはいけない」などの内容が書かれています。投資の世界では「自分の頭で考え、常に自己責任で行動しなくてはいけない」ということが、よくわかります。
『本質』系
そもそも株式投資とは何か、どうあるべきか―。という「本質」を語った本です。「自分は何のためにお金を稼ぎたいのか」というヒントにもなります。
- 『投資は「きれいごと」で成功する』(新井和宏)
- 『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(藤野英人)
『きれいごと』は、2013年に「日本一の投資信託」に選ばれた『結い2101』を運用する、鎌倉投信の代表の本。このファンドは「儲かる会社」ではなく「大事にすべき会社」にひたすら投資する「社会派」のファンドです。
『お金よりも~』は、決して偽善の本ではありません。「日本人は世界で一番の銭ゲバで、ハゲタカである」という、少々耳が痛い内容を「データによって」論理的に語っています。この本を読むと「お金を回すことの大切さ」を感じ、投資のモチベーションが上がるでしょう。
『芸能人』系
投資で有名な芸能人といえば、小倉優子さんなどがいますが、完全な投資家・金融OLとして活躍されている方もいます。そうした方の本です。
- 『株ドル 名波はるかの株入門』(
- 『松川佑依子「手ブラdeビジネス 株入門』
ちなみに「完全芸能人」の場合、下のような本があります。
- 『サンプラザ中野と川口一晃の株価チャートここだけ見ればいい』
- 『小倉優子のはじめましてFX』
まとめ ~最低限勉強したら、実際に始めるのが一番~
多くの本を紹介しましたが、当然「すべて読む」必要はありません。というより、読むべきではありません。
お金持ち本を多く出している午堂登紀雄氏も、『年収1億の人・300万の人』の違いを、下のように語っています。
- 1億の人…まず『体験』する
- 300万の人…まず『勉強』する
株式投資でも、これらの本のうち「自分が必要だと思うもの」をとりあえず読んだら、あとは始めるのが一番なのです。特にリスクの少ないインデックス投資なら、「500万円を30年預けるだけ」で、大体「1000万円~1600万円」程度の利益が出ます(平均的な年間利回りの「5%」の場合)。
というように「長期間じっくり投資する」覚悟があれば、それほど勉強しなくても「30年で1000万円」稼ぐ投資は、すぐスタートできるのです。元手がある人は、ぜひ気軽に始めてください。始めた後で勉強しながら、随時軌道修正するのがいいでしょう。