投資の心構え投資スタイルを決める ~アクティブ投資とパッシブ投資~

日経平均チャート

日経平均チャート
投資のスタイルは、大別して2通り。

  1. パッシブ投資
  2. アクティブ投資

…というものです。それぞれの内容は、

  1. パッシブ投資…ローリスク・ローリターン
  2. アクティブ投資…ハイリスク・ハイリターン

…ということ。
「そんなの当たり前」と思われるかも知れませんが、実はこの分類だけで、投資スタイルはほぼ決まる、と言ってもいいのです。

素人は、何も考えずに「インデックス投資」をするのがベスト

インデックス投資は、パッシブ投資の代表。「特定の株」ではなく「すべての株」にかける手法です。

(正確には「すべて」ではなく「400銘柄」などですが)

これはつまり、競艇なら「1番~6番まで、すべてのボートに、均等にかける」というようなもの。「利益出ないじゃん」と思われるかも知れませんが、株式投資の場合、これで利益が出るのです。

「平均株価」が上がれば、自動的に儲かる

「すべての株にかける」ということは、「どれかの株」が上下しても関係ありません。「すべての平均」が上がっていればいいんですね。これが、

  • 日経平均
  • ダウ平均

というもの。そして過去90年間、ダウ平均はひたすら上がっています。イラク戦争やリーマン・ショックなどで5年ほど落ち込むことはあっても、長期的にみれば「常に右肩上がり」です。

数字でいうと「年率約3%」。これは「500万円を30年寝かせる」投資の場合、30年後に「1213万円」まで増えているレベルです。

「競艇の全てのボートにかける」という「ほぼ絶対負けない手法」で、これだけ稼げてしまうのです。

(ちなみに、日経平均はこの25年間全体的に落ちているので、あまりおすすめできません)

「資本主義が拡大し続ける」というのが条件

インデックス投資で失敗する原因があるとしたら―。それは「資本主義が縮小する」ということ。

資本主義が縮小したら、その国の株価の平均も下がります。日経平均が25年下がっているのも、「日本の資本主義自体」が停滞していたからです。

ただ「他の国もすべて、日本のように資本主義が停滞する」ということは、まずないでしょう。幸か不幸か「人間の欲望は無限大」だからです。

少なくとも新興国の人は、かつての日本人のように今後も欲しいものを爆買いし続け、その国の株価の平均を上げ続けるでしょう。そういう海外の市場でインデックス投資をしていれば、「インデックス投資は、ほぼ確実に年率3%程度は儲かる」ということなんですね。

アクティブ投資は、プロの機関投資家でも大体失敗する

「投資スタイル」の話なのに、なぜいきなりインデックスを勧めるのか―。
この理由もハッキリしていて、「アクティブ投資では、素人が成功するのは無理」だからです。

アクティブ投資は本当に難しいもので、プロの機関投資家でも、大体が失敗しています。彼らのアクティブ投資のリターンは、

  • 3割~4割…インデックス投資より上
  • 6割~7割…インデックス投資より下

…となっています。
つまり、プロでもアクティブ投資の勝率は「3分の1」なんですね。

しかもこれは「瞬間的」に見たもの。「連勝する確率」は「3分の1×3分の1×3分の1…」と徐々に落ちていきます。そのため「どこかで全財産をかけた勝負」をしていたら「一気に破産する」こともあり得るわけですね。

「世界最強の投資集団」が、巨額の資産を失った事例

投資の歴史に残る大事件の「LTCM伝説」。「世界最強の投資家集団」が、わずか5年で巨額の損失を出し、消滅した―、という事件です。

このLTCMのメンバーは下の通りです。

  • ジョン・メリウェザー…「キング・オブ・ウォールストリート」。当時のソロモン・ブラザーズの筆頭投資家
  • マイロン・ショールズ…ノーベル経済学賞を受賞した、金融工学の権威
  • ロバート・マートン…同じくノーベル経済学賞で、金融工学の権威

「世界を代表する投資家に、(後の)ノーベル賞学者が2人も参加している」ということで、世界中の大銀行や大富豪が、このファンドに投資しました。イタリア銀行・台湾銀行・シンガポール政府投資公社・バンコク銀行・三井住友銀行…と、そうそうたる顔ぶれです。

こうして彼らは「ファンド創立時の、世界史上最高額」を集め、4年間で4倍まで、資産を増やしました。しかし、アジア危機・ロシア危機のダブルパンチで一気に資産を失い、5年目に消滅してしまったのです。

「最強集団」でも失敗するのに、素人が勝てるわけがない

上のように、LTCMという「最強集団」でも、ものの見事に失敗したのです。
まして素人が、アクティブ投資で長く勝ち続ける…というのは無理なんですね。

事実、プロの投資家でも先にも書いた通り、ほとんどは「インデックス投資より下」なのです。「そんなはずはない」と思うのは、証券会社の巧みな宣伝によって「そう思わされている」だけです。

これを暴露している専門家も多く、たとえば藤沢数希氏は「投資のプロは利益を上げていない」と断言しています。(『なぜ投資のプロはサルに負けるのか?』)

実際、サルではありませんが「投資家V.S. ネコ」の実験では、見事にネコが勝利しています。2012年のイギリスでの実験ですが、何十年もの投資経験を持つプロチームより、ネコが「ネズミのおもちゃを投げて決めた」銘柄群の方が、大きな利益を出したのです。

「世界の投資家のバイブル」も「投資はサルでもできる」と断言

『ウォール街のランダム・ウォーカー』―。これは、世界の投資家にとって「バイブル」ともいえる名著です。

この本でも、「目隠しをしたチンパンジーが、ダーツを投げて決めた銘柄でも、プロの投資家と同じ成績を上げられる」と断言しています。藤沢氏の本の「サルに負ける」というのは、ここから来ているんですね。

(ネコの件と違って、実際に実験されたわけではありません)

この「サルがダーツで決める」ようなランダムな銘柄の組み方を「モンキー・ポートフォリオ」と言います。これを「究極に分散」させたのが、最初に紹介した「インデックス投資」なんですね。

インデックス投資がベストだが、「年率5%以上」は稼げない

ここまで書いた通り、私は強くインデックス投資をおすすめします。ソロモン・ブラザーズの筆頭投資家や、ノーベル賞学者でもできなかったことが、素人の投資家にできるわけがないからです。

ただ、インデックス投資にも欠点はあります。それは「せいぜい、年率5~7%しか稼げない」ということ。つまり「インデックス投資だけでお金持ちになる」ということはできないのです。

  • お金持ちになるのは本業で(基本は起業)
  • それを1.3倍くらいに増やすために、投資

…ということですね。「嫌だ。投資でお金持ちになりたい」というのはありですが、この場合は「危険を承知」で「アクティブ投資に挑む」わけです。

インデックス投資でなくても、何らかのパッシブ投資を

インデックス投資でなくても、要はローリスクな「パッシブ投資」を選んだ方がいい、ということです。そして上にも書いた通り、「事業によってお金持ちになる」ことを考えた方が、現実的でしょう。

事実、アクティブ投資で最も成功したウォーレン・バフェットも、6才の頃から自分でビジネスをしています(コーラの転売や、競馬の予想紙の発行など)。
アクティブ投資で成功するにも、「自分で事業をした経験」が、あった方が有利なんですね。

かなり現実的かつ突っ込んだ話になりましたが「投資スタイル」を決める、というのはこういうことです。「投資だけでお金持ちになる」というのは「プロでもなかなかできない」「できても、最終的に破産することがしばしばある」という現実を、まず知ってください。

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