指値注文(さしねちゅうもん)とは、「売買の値段を指定する注文」のこと。
簡単にいうと「○○円になったら売る・買う」という条件で、売買に参加する…ということですね。
自分で値段を決めているので、
- 想定外に高い値段で買わされた
- 予想外に安い値段で売ることになった
…という悲劇がありません。しかし逆に、
- いつまでも売買できなかった
- 結局、バカ高い金額で買う羽目になった
- 結局、紙くずのような値段で売る羽目になった
…という、さらに上の悲劇もあり得ます。
つまり、簡単にいうと指値注文は「ハイリスク・ハイリターン」であり、「経験者向け」なのです。
指値注文のメリット『自分で売買の価格を決定できる』
指値注文のメリット・長所は、冒頭にも書いた通り。
「売買の価格を、自分でコントロールできる」ということです。
「逆に、コントロールできないっていうのは?」という疑問もあるでしょう。
これはもう一つのやり方「成行注文」の場合です。
*成行注文…なりゆきちゅうもん
成行注文は「一番マシな価格」で、自動的に売買する
成行注文は非常に簡単。
あなたはただ「サイゼリヤ株を、100株買いたい」と、注文を出すだけです。
そうすると、あなたのネット証券の口座は、「1株いくらでもいいから、とりあえず100個のサイゼリヤ株」を買ってきてくれます。
もちろん適当に選ぶわけではありません。
買い注文なので「一番安いサイゼリヤ株」から、順番に買ってきてくれます。
取引をしている間に、価格が変動するリスクがある
ネットの株取引は、秒単位で価格が変動しています。
そのため、あなたが買う寸前に誰かが大量にサイゼリヤ株を買ったら、「安いサイゼリヤ株が、全部売り切れ」となるリスクもあります。
この時、成行注文だと「いくらになろうと、指定の数量分だけ全部買ってしまう」んですね。
そのため、売買が成立した後「あれ?思っていた値段と違うぞ?」ということも、稀にあるのです。
成行注文のデメリットを補うのが、指値注文
上のように「売買の価格がいくらになるかわからない」というのが、成行注文のデメリット。
これを補うのが「指値注文」です。
- サイゼリヤ株を100株買いたい
- しかし、「1500円以下」でなければ買わない
…という条件を出すわけですね。
こうしておけば「法外な値段で買ってしまう」という失敗を防げます。
反面、条件をつけているので「売買の成立に時間がかかる」という欠点もあります。
指値注文のデメリット「売買の成立が遅れる」
結婚でも何でもそうですが、条件をつければつけるほど、成立は遅れます。
株取引でも、指値注文のように条件をつければつけるほど、売買の成立に時間がかかるわけです。
つまり「すぐ売りたい」「すぐ買いたい」という時には、指値注文はまったく「使えない」んですね。
そういう時は「成行注文」で、早く売買してしまうに限ります。
指値注文の欠点「初心者は、売買価格を決めるのが難しい」
指値注文のもう一つのデメリット・欠点。
それは「初心者では、売買の価格を決めるのが難しい」ということです。
もちろん「難しいからこそ、成長する」という部分はあります。
成長のために、あえて最初からどんどん指値注文をする…というのもいいでしょう。
ただ、多くの株取引初心者の方の場合「まず、株に慣れる」というのが一番大事。
そのためには「売買を一定回数経験する」のが一番ですから、指値注文よりもシンプルな「成行注文」の方がいいのです。
成行注文で一定回数の売買を成立させると、だんだん「株式投資」という行為が「普通」になってきます。
そうなると、情報の吸収力も上がるし、日常生活で企業を観察する目も鍛えられるのです。
指値注文にこだわると、「価格設定で悩んで、なかなか売買の経験ができない」ということに、しばしばなります。
初心者の場合は、これが指値注文のデメリットの一つと言えます。
株取引初心者は、指値注文より成行注文がおすすめ
ここまで書いたメリット・デメリットをまとめると、「初心者は、指値注文よりも成行注文の方がおすすめ」ということ。
これは、初心者向けの本だけでなく、世界レベルの偉大な投資家たちも、推奨していることです。
「売った後に株価が上昇しても、自らを責めるな」by オニール
「成長株投資」で世界の頂点に立つ投資家、ウィリアム・オニール。
彼のベストセラーには、下のような言葉が書かれています。
天井で売ることはまず無理だと割りきって、売ったあとに株価がさらに上層しても、自らを責めないことだ。
(『オニールの成長株発掘法』第11章より)
「天井」というのは、言うまでもなく「株価が一番高くなった時」です。
誰でも、このタイミングで売りたいのは当然。
だから「もう少し上がるかも」と、「指値注文」を設定して、待とうとするのです。
投資の格言&鉄則「頭と尻尾はくれてやれ」
「最高値で売るのを諦めろ」というのは、オニールの格言で言われているだけではありません。
投資家の間で一番有名な格言の一つ「頭と尻尾はくれてやれ」というのも、まさにそれです。
- 頭…最高値
- 尻尾…最安値
…ということですね。
「最高値で売るのを諦めろ。最安値で買うのも諦めろ」という意味です。
- もっと上がりそうだけど、売る
- もっと下がりそうだけど、買う
…という「80点主義」が、成功する投資家の共通点なんですね。
ということで、素人が「もっと上がったら&下がったら」と考えて指値注文を出すより、「成行注文でさっさと決める」方がいいわけです。
…以上、指値注文の意味・メリット&デメリット・注意点―。
そして、成行注文との比較などをまとめました。
もちろん指値注文も大事なので、ある程度経験を積んだら、徐々に指値注文を増やしてみてください。