成長株投資法とは「大きく伸びる株を買う」という手法。当たり前といえば当たり前ですが、実行は難しいです。難しい理由は2つあります。
- どの株が伸びるかわからない
- 伸びる株はすでに「株価が高い」ので、利益があまり出ない
つまり「どの株が伸びる」とわかっても、それは大抵、他の投資家も気づいているので「買値も高くなり、利幅は小さい」わけです。だから「他の投資家が気づいていないような成長株」を見つける必要があるんですね。
そういう点では、成長株投資は「割安株投資」ともよく似ています。割安株とは「本来の価値より、過小評価されている株」ですから。
「今安い。しかも、今後急激に伸びる」という銘柄を見つけ出すのが、理想的な「成長株投資」です。
成長株投資法のやり方・方法
成長株投資(グロース投資)のやり方は、イコール「銘柄の見つけ方」です。見つけ方は大別して、下の2通りです。
- 本質的な企業研究
- ファンダメンタル分析
前者は、例えば「未来のGoogleやFacebookを見抜く」のようなものです。「すでに上場している株」を買うので「ベンチャー投資」とは違いますが、本質は似ています。「この会社は本物だ」と、惚れ込んで買うイメージですね。
後者は「数値」を見て買います。「1株当たり利益」「株価と保有資産のバランス」などの、データによって判断するわけですね。
成長株の発掘は「株の知識」がなくてもできる
一つ目の「本質的な企業研究」。これは「株の知識」がなくてもできるものです。「自分がよく知っている企業・業界」であれば「この企業は伸びる」という革新が持てるでしょうから。
たとえば、人気の投資漫画『インベスターZ』。主人公の中学生・財前は、初投資でいきなり「30億」という大金を、一つの株にかけます。「ゲーキチ」というゲーム会社の株ですが、理由は「ゲーキチ、めちゃ面白いんですよ!」というだけです。
それで翌日にいきなり「3億」利益が出たのですが、これが理想的な「成長株投資」です。「企業の本質を見抜いて投資する」ということですね。
こういうやり方の場合、成長株投資は「株の知識なし」でもできます。『インベスターZ』は漫画ですが、ウォーレン・バフェットなどの投資法も、本質的にはこれと同じ。成長株うんぬんを抜きにして「投資の王道」といえるやり方でしょう。
企業・業界がわからなければ、ファンダメンタル分析
2つ目の方法「ファンダメンタル分析」は、「データの分析」。これは「どの企業が伸びる」というのがわからない時でも、使える方法です。
「わからない」というと実力がないようですが、そうではありません。というのは「この企業が伸びる」というのは、そう簡単にはわからないからです。
たとえばベンチャー投資の場合、成功率は「1%以下」とされます(在米ベンチャーキャピタリスト・伊佐山元氏)。
上場企業はベンチャーよりは「ハズレがない」ですが、それでも「絶対の成功」はないのです。先に書いた『インベスターZ』は漫画だからうまく行きましたが、現実にはこういう「思い入れ」だけだと、失敗することが多いんですね。
そのため、成長株投資では「ファンダメンタル分析」も必須なのです。ここからは、ファンダメンタル分析のやり方を解説します。
特に重要な指標は『ROE』(株主資本利益率)
重要な指標は当然多数ありますが、特に重要な一つがROE(株主資本利益率)です。これは「株主たちのお金が、どれだけ効率的に使われているか」という数値。
計算式を簡単にいうと「利益÷株主から集めたお金」です。効率的な経営をしていれば「少ないお金を集めるだけで、たくさんの利益が出る」わけですね。そのため、ROEの数値は「大きいほどいい」わけです。
ROEより「売上高伸び率」が重要な場合も
上のROEは「利益」に注目していますが、投資家によっては全く別の意見になります。「利益より、売上の方が重要」という意見です。
というのは、成長している企業は「ガンガン設備投資をする」からです。ということは「コストが増える」ので「利益が減る」んですね。
それでも「売上」は伸びていきます。つまり「本当の成長度合いは、むしろ売上に出る」とも言えるのです。
現実には「自転車操業」をしている可能性もあります。銀行や株主から評価されるために「むやみにお金を注ぎ込んで、売上を伸ばしている」ということですね。
そのため「売上高の伸び率」が良ければいい…とは限りません。ただ、これもROEと並んで、非常に重要な指数です。
ファンダメンタル分析は「粉飾決算」のリスクも
ファンダメンタル分析で怖いのは「粉飾決算」です。売上や利益などの数字をごまかせば、いくらでも「成長株」に見せることができるんですね。
2015年の夏にも東芝の粉飾決算が問題になりましたが、東芝レベルの「超名門企業」でも、このようなことがあり得るのです。まして、もっと歴史の浅い企業の場合、粉飾決算は「いくらでもあり得る」んですね。
ライブドア事件もそうですし、「エフオーアイ」という企業に至っては「粉飾決算によって上場する」という、異例の事件を起こしています(上場後7ヶ月で粉飾が発覚し、上場廃止になりました)。
数値というのは、このようにリスクもあります。「企業の本質だけを見る」というのも危険ですが「数値だけ」でも危険なんですね。
最終的には「両方見る」ことが重要であり、最強なのです。音楽なら「リズムとメロディ」、野球なら「攻撃と守備」…というように、何でも「両方大事」なんですね。
成長株投資法(グロース株投資法)のまとめ
以上、ポイントをまとめると下の通りです。
- 成長株投資…今後大幅に伸びる株に投資
- やり方…「企業そのものを見る」or「指標を見る」
- 指標…ROE、売上高伸び率など
- 注意点…企業を見るのは難しい&数値は粉飾も可能
注意点やリスクについても多く書きましたが、それだけ「大幅に稼げる手法」でもあります。また、FacebookやGoogleを見てもわかる通り、こういう企業を見つけて投資するのは「最大の社会貢献」でもあります。
お金の面でも、やりがいの面でも「投資の醍醐味」といえる手法の一つです。