グロース投資とは「大きく成長する株」に投資する手法。
「バリュー投資」と並んで、投資の「二大潮流」です。
「グロース投資とは何か」を説明するには、バリュー投資と比較するのが一番。
ここではまず、両者の違いから説明します。
グロース投資とバリュー投資の違いは?
まず、それぞれの定義は下の通り。
- グロース投資…「成長する株」を買う
- バリュー投資…「安い株」を買う
さらにわかりやすく書くと、こうなります。
- グロース投資…今の株価が高くても、将来もっと上がるなら買う
- バリュー投資…将来成長しなくても「今、割安」なら買う
…ということです。
グロース投資は「将来」、バリュー投資は「過去」を見る
簡単にいうと、
- グロース投資…企業の「将来」を見る
- バリュー投資…企業の「過去」を見る
…という違いです。株主の心境で書くと、
- グロース…この会社は、絶対伸びる!
- バリュー…この会社、もっと評価されていいんだけどなあ…
…となります。「これ、同じ意味じゃね?」と思った人もいるでしょう。
その通りで、「グロースでもあり、バリューでもある」という株は、確かにあります。
「みんなから馬鹿にされているけど、将来間違いなく伸びる会社」ということですね。
こういう企業に投資できたら、それは最高です。
グロース株とバリュー株が、共通しないケース
では、両者が共通しないケースとは―。
下のような株は、共通しません。
- 将来間違いなく伸びるが、現時点ですでに人気である
- 将来性はそれほどないが、本来の実力よりも過小評価されている
…という株ですね。上が「グロース株」、下が「バリュー株」です。
これをさらにわかりやすく書くと、
- グロース株…高い買い物だが、それを上回る値段で売れる
- バリュー株…安い買い物なので、売る値段が安くても利益が出る
…ということです。自分がお店を経営する場合なら、「高級店…グロース株」「大衆店…バリュー株」という印象ですね。
以上「グロース投資とバリュー投資の違い」をまとめました。
次に「グロース株を、どうやって見つけるか」を書きます。
グロース株(成長株)の見つけ方
グロース株(成長株)を見つける方法は、大別して2通り。
- 「株価指標」で見つける
- 「企業自体」で判断する
この方法は「バリュー株」を見つける時も、まったく同じです。
特に後者の「企業自体を見る」というのは、まったく共通ですね。
違いが出るのは「指標で見つける」方法です。
見る指標は同じでも「基準の数値」が変わるのです。
使う指標は「PER」と「PBR」
まず、使う指標は「PER」と「PBR」というもの。
これは、グロース投資もバリュー投資も共通です。
違いは、これらの数値が「高い方がいい」か「低い方がいい」かということ。
- バリュー投資…低い方がいい
- グロース投資…高い方がいい
…となります。例外もありますが、大体このようになります。
「PER・PBRが高い」というのは、どういう意味か?
「PER・PBRが高い」というのは「期待されている」という意味です。
それぞれの指標の意味は下の通りです。
- PER…今その株を買ったら、何年で回収できるか
- PBR…その株は、本来の価値の何倍まで、値段が上がっているか
これをさらに砕けて書くと、
- PERが高い…買っても「かなりの年数経たないと」回収できない
- PBRが高い…本来の価値より、過大評価されている
…となります。「ダメじゃん」と思った人もいるでしょう。
確かに、これはバリュー投資では「割高株」と言われ、「投資してはいけない」銘柄となります。
実際、「単純にダメな会社だから、PER・PBRが高い」という銘柄も、よくあります。
しかし、「そうでない銘柄」もあるんですね。
「割高な株」=「人々が期待している株」
先にも書いた通り、割高な株というのは、言い換えれば「人々が期待している株」なのです。
先ほどの表現を、いい言葉に直すと下のようになります。
- PERが高い…「長期間待つだけの価値がある」と皆が思っている
- PBRが高い…「こいつは絶対成長する」と、皆が信じている
例えて言うなら「少年漫画の主人公」ですね。
「今は全然だけど、こいつには才能がある」という、周囲の期待です。
こうした期待が、PERやPBRの数値を大きくするわけです。
というわけで、バリュー投資では外される「割高株」の中に、奇跡的な「グロース株」が混じっていることも、多々あるんですね。
まとめ ~グロース株を「指標」で見つけることはできない~
気づいた人も多いでしょうが、グロース株は「指標だけ」で見つけることは、できません。
指標だけでは「ただの割高株」と「大化け株」の違いがわかりませんからね。
というわけで、指標を見つつも「その企業は、どのような企業なのか」ということを、よく研究する必要があります。
もちろん、その企業だけでなく、業界や経済全体の流れ、社会全体の流れも、考える必要があります。
つまり、グロース投資は「難しい」のです。
ただ、「投資の専門知識が少なくていい」という意味では、逆にバリュー投資よりも簡単かも知れません。
- 特定の業界を見る目に、自信がある
- 人間や組織を見る目に、自信がある
という人は、グロース投資に挑戦するといいでしょう。