ROEは「その企業が、資産を有効活用できているか」を見る指標です。たとえば資産が1億円あったら、「この1億円を使って、どれだけの利益をあげたか」ということです。
当然、たくさん上げる方がいいです。ということで、「ROE=大きい方がいい」と言えます。
なぜ、有効活用度がわかるのか
「資産を、どれだけ有効活用したか」―。これを言い換えると「資産を何倍にしたか」となります。
「AはBの何倍か?」と聞かれたら、割り算ですよね。「A÷B」です。で、ここで知りたいのは「利益が、資産の何倍か」です。そのため、AとBは、
- A…利益
- B…資産
となります。「A÷B」に当てはめると、「利益÷資産」。これが「ROE」です。「利益÷資産=ROE」ということです。
ROEがいくつだったら、良い株?
東証の企業の平均では、ROEは「約8%」。つまり「ROE=8」以上だったら、「良い株」です。
(実際にはそんな単純ではありませんが、とりあえず)
ROEが8%ということは、その企業は「資産を1.08倍にした」ということです。1年間で。
「少なくね?」と思う人もいるでしょう。実際、日本は「ROE最貧国」と言われています。アメリカの企業は「ROE…21%」が平均なのです。日本の2.5倍程度ですね。
…ということで、日本株に投資する場合は「ROE…8以上」が「優良株」の可能性が高いです。
ROEの計算式
ROEの計算式は、簡単に書くと先の通り。『利益÷資産』です。これを正確に書くと、下のようになります。
- ROE=当期純利益÷自己資本(株主資本)
- ROE=税引き後利益率÷自己資本(株主資本)
また、やや意外な計算式として
- ROE=PBR÷PER
で出すこともできます。株式投資の特に重要な『PBR・PER・ROE』は、計算でもつながっているんですね。なぜこの式でROEを出すことができるのか、
- 数式的な理由
- 本質的な理由
…の2つから説明します。それぞれ下の記事で解説します。
特に2つ目は、ROEだけでなく「PBR」や「PER」の理解にも役立つので、読んでいただけたら幸いです。
以下、ROEに関する単語や計算式を、厳密に、専門用語で補足します(これは読まなくても大丈夫です)。
ROEの厳密な説明
- ROE…自己資本利益率
- 何の略?…Return On Equity(リターン・オン・エクイティ…資産に対するリターン)
- 古い呼称…株主資本利益率
- 意味…株主資本をどれだけ有効活用し、利益を上げたか
ROEの計算式・一覧
ROEは、下のような計算式があります。
- ROE=当期純利益÷自己資本
- ROE=税引後利益率÷自己資本
- ROE=経常利益÷自己資本
上の「自己資本」はすべて「株主資本」で置き換えてもOKです。なお、自己資本は『会社四季報』では「株主持分」と書かれています。
また、下のような計算式でも出せます。
- ROE=一株当たり当期純利益(EPS) ÷ 一株当たり純資産額(BPS)
- ROE=PBR(株価純資産倍率)÷PER(株価収益率)
このうち「ROE=PBR÷PER」について、そうなる理由を、先に書いた2記事で説明します。